佐原は苦い表情で「無理だ…」と力なくつぶやく
佐原の耳にもスタートの音が届き、「借り物競走」が始まったことを知る。佐原は、自分が高校生のときに借り物競走に出場したときのことを思い起こす。
借り物のメモのところまでやってきた佐原がメモを取ると、紙には“好きな人”と書かれている。困惑してメモを見つめる佐原。険しい表情でメモを凝視し、佐原は洗い息遣いで立ち尽くしてしまう。
佐原を応援する声が聞こえ、佐原は一瞬、声援で沸く生徒たちに目をやるが、もう一度“好きな人”と書かれたメモに目を落とし、苦い表情で「無理だ…」と力なくつぶやく。佐原はメモを力をこめて握りつぶすのだった。
好きな人に「好き」と伝えられなかった佐原の過去が思い描かれて、切ない気持ちが胸に広がった。
◆構成・文=牧島史佳
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