菊池風磨が主演のドラマ「ゼイチョー〜『払えない』にはわけがある〜」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系/Huluにて配信)。12月16日に放送された第9話では、徴税禁止リストと深く関わっている相楽グループへの捜索が試みられた。しかし、公正公平な徴収のための捜索は、市民が愛する「みゆきの商店街」を窮地に追い込んでしまう。(以下、ネタバレを含みます)
「ゼイチョー〜『払えない』にはわけがある〜」とは
同ドラマは「BE・LOVE」(講談社)にて、2016年4号から2017年6号まで連載されていた「ゼイチョー!~納税課第三収納係~」が原作。“徴税吏員”が滞納されている税金を徴収するべく奮闘する物語で、著者である慎結が市役所で非正規職員として働いていた経験を基に描かれている。
ノリは軽いが優れたスキルを持った徴税吏員・饗庭蒼一郎を演じるのは菊池。そして、蒼一郎と正反対、真面目に滞納者と向き合う猪突猛進タイプの新人徴税吏員・百目鬼華子役は山田杏奈が務める。
“みゆきの市に相楽あり”と言わしめる相楽グループの権力
みゆきの市にある“みゆきの商店街”には、税金の滞納者が多い。徴税強化という市の方針に従い、饗庭と華子は何軒か商店街の店舗へ臨宅してから市役所に戻ることに。
2人が臨宅をしたのは、みゆきの商店街の自治会長・守谷哲明(野添義弘)が経営するそば店。守屋には住民税と固定資産税、合わせて14万2100円の滞納があった。
前まではしっかりと納税されていたのだが、立て続けに起こった取引先の倒産や値上げによる影響を受けて滞納をしてしまったと話す守屋。「取引先」について華子らが話を聞いてみると、相手はどうやら相楽グループのようだ。「知ってるでしょ、あんたたちが差し押さえに入ったんだから」と守屋は不満を漏らす。
饗庭は後ろを向きながら小声で「それ、俺らじゃねえんだけど。日比野係長ね、それ」と咳払いをするふりをしながらボソっとつぶやいた。「困っているのはうちだけじゃない。“みゆきの市に相楽あり”。この街はみんな相楽で持ってるんだ」。守屋は相楽グループあってこそのみゆきの商店街だと、語気を強める。
「それで、米田市長を応援しているんですか」と、店の壁に飾られている米田直筆の「誠意」と書かれた色紙を見ながら尋ねる饗庭。「次の市長選でも頑張ってもらいたいねえ」「米田さんほど、相楽と仲のいい候補はいないからね」という守屋の言葉に対して、憤りを隠せない様子の華子。しかし、相手は相楽グループのやっていることを知らないイチ市民だ。華子とて、怒りをぶつけても無駄なことは分かっている。
そんなとき、守屋の娘である香澄(金澤美穂)が帰宅。香澄は町おこしNPOの代表を務めているのだが、守屋が税金を取り立てられていることを知ると怪訝そうな表情に。香澄は「しっかりしてよ、市役所の人にはお世話になっているんだから」と、父に小言を漏らすのだった。
「お世話になっている」という言葉通り、いままさに地域振興課と打ち合わせをしてきたという香澄。今度行われる餅つき大会のチラシを、華子と饗庭にも手渡した。餅つき大会には納税課のメンバーも参加するという話を聞き、饗庭は今から張り切りだす悪ノリを見せる。
華子は「お父様は自治会長で、娘さんはNPOの代表。すてきですね、親子二代で市役所のために活動しているなんて」と感心。だが、守屋は「市役所もしっかりしてくれよ。地域振興課のヤツらなんてさ、大したことしてくれてないんだから。そのくせこうやって税金だけはキッチリ集めに来て」と嫌味を言う。香澄が「ちょっとお父さん」と守屋を制止するものの、饗庭は「いいんです、言われ慣れてますから」と爽やかな笑顔を見せた。
「それに比べて相楽は信用できる。この商店街は相楽と一緒に復活するんだから」。守屋は大いに相楽へ期待しているようだが、それを聞いた香澄の表情はかすかに曇る。饗庭は2人の姿に眉をひそめて、静かに香澄を見つめ続けた。