乃木坂46の4期生であり、野球好きと知られる黒見明香がメジャーリーグベースボール(以下、MLB)の魅力を伝える初冠企画MLB連載「9-6-3のファインプレー!」。乃木坂46の野球好きの久保史緒里・向井葉月・金川紗耶・柴田柚菜と共に結成された「乃木坂野球部」のメンバーであり、「ABEMA BASEBALL SPECIAL SUPPORTER」としてゲスト出演してきた「ABEMA」のMLB中継内では、あらゆる野球データが記載された直筆の通称・黒見ノートが視聴者の間で「レベルが高すぎる」と度々話題となりました。
先週に引き続き、元メジャーリーガーで現在、行列ができるプロ野球解説者として人気の五十嵐亮太と黒見明香の対談最終回をお届けします。今回は、ドジャースと空前絶後の10年7億ドル(約1015億円)という大型契約を果たした大谷翔平選手の「ココがすごい」を語り合いました。
<規格外超大型契約の大谷翔平選手のここがスゴイ!>
――これまでNPBとMLBの違いや、MLBならではの話をしていただきましたが、今回は先日ドジャースと10年7億ドルという大型契約を果たした大谷選手について、どこがすごいのか……をお話いただきたいです。
黒見:大谷選手の元チームメイトの方も仰っていましたが、一打席のなかでの修正能力が上がっているのかなというのは感じます。あとは逆方向へのホームランも増えているなという印象が今年は強かったです。
五十嵐:そのことって結構言われているのですが、なぜそこが変化したかという部分はどう考えていますか?
黒見:MLBはNPBよりもデータ重視の世界ということで、大谷選手が持つデータ量が増えたのかなと思います。あとはそれぞれの球場ごとの見え方とか球の回転とか頭のなかに入ってきたのではないでしょうか。
五十嵐:いい分析ですね。すべてのチームではないのですが、対戦するピッチャーの持ち球をマシンが再現できるんです。その意味で、相手の情報にないボールを投げるピッチャーが抑えられるし、打者はデータにない球種を投げられたとき、どこまでその打席で修正できるか。大谷選手のように臨機応変に対応できると、成績が上がってくると思うんです。でも僕も大谷選手のすごいところを考えたのですが、一番は当たり前のことをすべてしっかりやれるところなのかなと。
例えば、自分が練習はこれぐらい、睡眠時間はこれぐらいと目標設定したとき、人って「まあ今日はいいや」と飲みに行ったりしてしまうことって往々にしてあると思うんです。でもそういう誘惑に負けず、自分のプレイにとって何が一番プラスなのかを考えてブレずにやれるところがすごい。二刀流をやろうと決めて、やり切って結果を出しているのも、相当な強い意志ですよね。
一方でこの間、大谷選手のドキュメンタリーを観たのですが、自分でしっかりと意思を持って選択しているように見えて、もし自分が結果を出せなかったら続けられない……という危機感みたいなものは持っている。それって誰もが感じていること。メジャーでやりたいと思ったとしても、結果が伴わなければできないじゃないですか。「絶対成し遂げるんだ」と強い意志を持ちつつも、ちゃんと普通の人の弱さや不安といった感覚も持っている。そこが魅力的ですよね。
黒見:五十嵐さんもMLBでプレイしましたが、誘惑に負けて自分のルーティンを崩してしまうことはあったのですか?
五十嵐:やっぱりありましたよ。クラブに行って踊ることもありました(笑)。僕にとっては野球を忘れる時間も必要だと思っていたので。でも彼はそういう噂は流れてこないですよね。すべてが野球のためにという感じ。まあ、最近ではワンちゃんとの時間なども伝え聞いていますが、やっぱり彼の楽しさは球場のなかにあるんでしょうね。