コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家として活躍する猪原秀陽さんの作品『不思議なピストル』をピックアップした。
11月19日に同作がX(旧Twitter)上にポストされると、多くの読者が反応して1.4万件の「いいね」を獲得。作者の猪原さんにインタビューをおこない、同作が生まれたきっかけやこだわりポイントついて語ってもらった。
あらゆる物がレコードに…
ご機嫌な様子の少年が公園を歩いていると、茂みの陰に何かを発見した。まるでピストルのような形で、おもむろにスイッチを押すと先端から光線が発射される。光線が近くの「木」に当たると、「木」の絵柄のレコードに変わってしまった…。面白くなった少年はいろいろな物に次々とピストルを発射。多くのレコードを集め、そのレコードを聴くために伯父さんの家へ行くのだった。
少年が持ってきたたくさんのレコードに怪訝な顔をしながらも、伯父さんは「どんな曲か聴いてみたいっ!!」という欲求を抑えられない。さっそく「木」のレコードを聴いてみると、「木」を感じる曲が流れてきた。続けて「石」「水」「鉛筆」と聴いていくが、どれも元となった物を感じられる曲に仕上がっている。
ひと通り曲を聴き終わった頃、時間も遅くなったので、少年は家に帰ることに…。散らかった部屋の中で、伯父さんはピストルが落ちているのを発見する。
翌日、伯父さんは勤め先の会社で同僚から嫌味を言われて口論に発展。怒りに任せて、同僚に向けて例のピストルを発射してしまう。すると「木」と同じように「同僚」もレコードになって…。
X上では「ラストの落ちが予想外すぎた」「思いのほか深い内容で考えさせられた」など多くのコメントが寄せられている。
言葉ではない方法で音楽を表現をしてみたいと思っていた
――『不思議なピストル』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
言葉で具体的な説明をせずに、その音楽がどんな曲なのかを想像させるような表現ができたらと思ったのがきっかけでした。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
登場人物の伯父さんは「昭和を愛する現代の人」というような設定で、あんまり昭和過ぎないようにとかバランスを見ながらこだわって描きました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
冒頭で子どもが歌っている「♪おけつおじいさん〜」という歌です。
まったくこだわる必要がない箇所なんですが他にも、「おしりおじいさん」「おならおじいさん」「ハナクソ売ってるおじいさん」などいろいろ候補を作って悩んだ末に決めました。
子どもは何かおもしろいことを言う際、「おじいさん」って言いがちというイメージが自分の中にあって、それと下ネタを組み合わせて適当に歌ってる感じが表現できたと思います。
――同作に登場するピストルを打てば何でもレコード化されますが、猪原さんはレコードを聴くのが趣味だったりしますか?
一時期レコードを聴くのが趣味だった時があります。場所を取るので再生機器など合わせてもうほとんど売ってしまいました。物質的な存在感がすごくあり、再生するのに少し手間がかかって、新しいレコードを買って聴く時すごくワクワクしました。
――本当に「不思議なピストル」があれば欲しいと思いますか?
どんな曲なんだろうと想像するところで終わりにするのがいいのかなと思います。実際聴いたら、がっかりするかもしれないです。
――今後の展望や目標をお教えください。
人間や世界とじっくり向き合うような、それでいて笑いあり涙ありの長編を描いてみたいと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
今後も漫画を描いてXで発表していく予定ですので、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです!
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