コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、不二丘いつきさんの漫画『死んだネトゲの友人の父とボスを倒しに行く話。』だ。
不二丘さんが2023年11月30日に同作をX(旧Twitter)に投稿したところ、2.6万件の「いいね」が寄せられている。作者の不二丘さんにインタビューをおこない、創作のきっかけやこだわった点などについて語ってもらった。
ネトゲで知り合った友人の想いが死後明らかになっていく
「神獣オンライン」というネットゲームをプレイしている主人公のシャド(アバター名)には、ゲームを通して知り合った友人「コーラル」がいた。ある日、シャドはコーラルが交通事故で亡くなったことをSNSの投稿で知る。
ゲームのギルドメンバーで集まり、コーラルの死を悼むシャドたち。しかし突如、コーラルのアバターが暴れるように動き出す。「幽霊だ!」と驚くシャドらに、アバターは「コーラルの父です」と名乗り、亡くなった息子のことを知りたくてゲームをプレイしてみたと語る。
コーラルとの思い出を振り返ったり、ゲームに慣れないコーラルの父にいろいろと教えたりしながら交流を深めていくシャドたち。知らなかった息子の一面に触れて「もっと一緒に遊べばよかった」と後悔するコーラルの父に、シャドはゲームの象徴的なボス「パイレン」の攻略を提案する。
神獣オンラインはサービス終了の時期が迫っており、コーラルは生前、記念にボスに挑戦したがっていた。そんなコーラルの誘いを忙しさを理由に断ってしまい、シャドは心底後悔しているのだった。
コーラルのささやかな夢を叶えてあげようと、いざ臨んだボス戦。ボスは予想通り手強く、シャドたちはギリギリの戦いを強いられる。もうダメかと思ったその時、コーラルが生前集めていたアイテムが偶然裏技のきっかけとなり、シャドらはギリギリでボスの撃破に成功。その瞬間、コーラルのアバターからひとりでにメッセージが流れ始め…。
読者からは「うっかり電車内で読み、ラストで号泣」「読み始めたら没頭して、一緒にゲームの中を駆け抜けている気分でした」など好評の声が寄せられている。
作者・不二丘さん「ログインしなくなったフレンドを見て寂しさを覚えたのがきっかけ」
――『死んだネトゲの友人の父とボスを倒しに行く話。』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
自分もオンラインゲームを10年遊んでいるのですが、ログインしなくなったフレンドさん達の動かなくなったデータを見て寂しさを覚えたのがきっかけの1つになりました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
オンラインゲームの楽しさを描きたかったので、年齢性別国を問わず同じ体験を共有できる面白さをつめこみました。未体験の方は「そんな世界があるのか」と、経験者の方は「あるある」と思ってもらえたら嬉しいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
お父さんの「あなたは何を言ってるのですか」の台詞です。サガリバナが降る幻想的なシーンで主人公がようやく現実に繋がったところを描く時は自然と力が入りました。
――作中に登場するさまざまなアバターがとても魅力的に描かれていましたが、何か着想を得てデザインしたのでしょうか?
ゲームのアバターや世界観は東南アジアをイメージしてデザインしました。昔1人でバリ島に旅行した時、その美しさに感動してずっと描きたいと思っていたので。お面のフレンドさんは聖獣バロンがモチーフです。
――同作のようにオンライン通信を通じて仲を深めるということは珍しいことではなくなりましたが、不二丘さんもオンラインゲームで友達や知人ができた経験があるのでしょうか?
たくさんあります。友人同士が結婚したり、友人の友人の訃報を聞いたり…嬉しいことも悲しいこともたくさんありましたが、これからも現実的な距離はあれど繋がっていたいです。今遊んでるゲームがいつか終わっても。
――今後の展望や目標をお教えください。
自分が読みたい話を人にも楽しんでもらえるよう、こつこつ漫画にして描いていきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
これからも漫画を描いていくので、記憶に残るものを贈る事ができたら幸いです。
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