コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は大塚志郎さんの『生還図鑑「道」〜タヒ亡回避マニュアル〜』から『見知らぬ人に「猫探しで車の下をのぞいて」と頼まれたら注意してください』をピックアップ。
日常に潜む様々な犯罪の手口や危険行為を漫画に描き、SNSで発信して読者に注意喚起をおこなっているという大塚さん。中でも2023年11月11日にX(旧Twitter)に投稿された本作は、頼み事をされたあとに待ち受けるまさかの恐ろしい展開に3万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では作者である大塚志郎さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
人の善意につけ込んで…令和に流行している犯罪の手口に読者から反響続々
高校1年生の海狩ジローはある日、道端で見知らぬ男性に声を掛けられる。男性はキャップを被って口にはマスクをし、大型バン車の横で「ウチの猫が逃げちゃって探している」「腰を痛めているからかがめないので車の下を見てほしい」とジローに頼みこむ。
特に不思議に思うこともなく、かがんだ姿勢で車の下をのぞきこみ猫を探すジロー。すると男性はジローの腰に手を回し、後ろからぐいっと体をかかえて車に乗せようと押し込んでくる。一瞬の出来事で理解できずにいたジローだが、その様子を見ていたクラスメイトの馬場マキノに運良く助けられ難を逃れるのだった…。
これこそが、実際に令和で流行している誘拐の手口。“猫探し”と偽り、ペットを使って安心させたところで人の善意につけ込み油断したところを狙うのだ。一昔前には「家族が倒れたから一緒に病院に行こう」と人を動揺させることを言って車に同乗させたり、また人気のない山道にベビーカーなどの興味をひく物を放置し、待ち伏せして不意打ちを狙ったり…とこれまでにも様々な手口が犯罪に使われてきたという。
しかし、今も昔も変わらないのは「不安を煽る」「善意につけ込む」「不意打ち」の3つ。そして大切なことは、変質者にとっては男も女も関係ないということ。これらを誘拐の基本の手口として記憶し、どうか気をつけてほしいという注意喚起で漫画は締めくくられている。
本作で明かされた恐ろしい犯罪の手口に、X(旧Twitter)上では「こわっ!」「これは危うく引っかかる」「人の善意につけこんで…最低すぎる」「いろんな手口があるんだなぁ」「誘拐犯や殺人鬼が必ずしも“いかにも悪そうな顔”をしてない事も念頭に入れておきたい」「子供にも教えておきたい」など多くのコメントが寄せられ、話題を集めている。
“人の役に立つ”情報を漫画で発信したい 作者・大塚志郎さんが語る創作の背景とこだわり
――『見知らぬ人に「猫探しで車の下をのぞいて」と頼まれたら注意してください』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
ネットは漫画を拡散させることができるのですが、どうせなら人の役に立つ情報を拡散させたいと思い危機回避の漫画を考え描き始めました。初めは「道端での危険」というのをテーマに漫画を描いていてそれの1つとして描きました。
――本作をX(旧Twitter)に投稿後、3万以上の“いいね”が寄せられ話題を集めています。今回の反響について、大塚志郎さんの率直なご感想をお聞かせ下さい。
元々はこんな危険があるので注意してください、回避してくださいという意味を込めて漫画にしていたのですが「善意につけ込んだ凶行が怖すぎる」「こんな注意を子供に話さなければならないのが残念」「うちの子供は絶対引っかかる」などたくさんの意見や反応をいただき、すごく手応えを感じ引き続き描いていこうと思いました。加えて自分は知っていれば防げる危機と思っていましたが知ってても防げない危機になってしまってるので更なる追加の漫画の必要性を感じてます。
――本作が収録されている『生還図鑑「道」〜タヒ亡回避マニュアル〜』では他にもさまざまな注意喚起が描かれていますが、それぞれのエピソードはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
TVなどで事故のニュースを見て情報収集、着想を得ています。元々の情報からさらに深堀して原因や対策を考えるという感じです。
――本作を描く際にこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたら教えて下さい。
危機回避の一例をあげていますが、自分でもこうやってこうするという具体的なシュミレーションをしたり自分の日常に潜む今まで気づけなかった危機を1つでも見つけて対策していただければ良いなと思います。
――大塚さんは本作以外にも『びわっこ自転車旅行記』や『漫画アシスタントの日常』(いずれも竹書房)などご自身の実体験を元にした漫画を数多く描かれていますが、創作活動全般においてのこだわりや特に意識している点はありますか?
現実的で説得力があり知って得する情報を盛り込むことを大事に漫画を描いています。難しいことをなるべく簡単に楽しく読者に伝えられたらいいなと考えそのような工夫を日々考えております。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
今後もできるだけ早く多く、ハイクオリティな漫画を仕上げて発表していきますので引き続き応援よろしくお願いいたします!