ドラマ「グレイトギフト」第1話オリジナルレビュー
舞台は、明鏡医科大学付属病院。大きな病院で物語が繰り広げられるとなると、初回となる第1話では病院や登場人物の説明、日常の風景などが描かれそうだが、本作では無駄な導入部分が全く無い。
早々に1人の患者が命を落とし、遺体の解剖を任された藤巻に久留米は「殺されたのかも知れません」
と語りかけるのであった。第1話が始まってここまで約1分。物語の展開の速さ、登場人物から発せられるせりふのひとつひとつによって物語にどんどん引き込まれていく。
そして、物語のキーとなる“未知の球菌”が発見される。死の原因がこの球菌であることはこの段階で断定されていないのだが、藤巻の「世界の人々の命が懸かっているかもしれない」という言葉から球菌の恐ろしさが伝わってくる。
冒頭から謎の不審死、権力争い、大学病院の闇が描かれ、ドキドキハラハラした展開を繰り広げる中、連続ドラマへのレギュラー出演初となるお笑い芸人の見取り図・盛山晋太郎がいい味を出している。
本作では関西弁を封印し、標準語で演技をしている盛山。同ドラマの記者会見では、医者役を演じるにあたり「銀歯を白くした」とも明かしており、意気込みを十分にのぞかせていた。そんな盛山だが、学生の頃から反町の大ファンだという。その反町から撮影現場でアドバイスを受けたという盛山の演技にも引き続き注目したい。
また、ドラマの公式ホームページなどでは、本作の予告動画が見られるのだが、そこで気になっていたのが反町演じる藤巻と波瑠演じる久留米に添えられた“変人”の二文字。一体どこが“変人”なのか、と期待しながら第1話を見進めていると「ここか!」と言う部分がそこかしこに。
「気持ちはよく分かりませんが、言語の分析はできます」と後輩の奈良らと食事をするシーンで主張する久留米や、「顕微鏡としか目を合わせない」「顕微鏡でも覗いてこれば」と言われる藤巻が登場。
今作では、スマートなイメージの反町が、“うだつのあがらない病理医”を演じているのだが、その表情、視線、姿勢などもその役柄を引き立てている。今後、物語上では藤巻と久留米の会話が増えそうな予感がするので二人の“変人”っぷりも楽しみだ。
しかし、大筋は“サバイバル医療ミステリー”。本作には、反町と波瑠をはじめ、小野花梨、尾上松也、佐々木蔵之介、明日海りお、坂東彌十郎、津田健次郎、倉科カナ、筒井道隆といったベテラン・演技派の出演者が勢ぞろいしており、誰もかれもが怪しく見えてくる。
真犯人はいったい誰なのか、この人は信用して大丈夫なのか、物語の展開はもちろんのこと、視聴者の考察合戦も盛り上がることだろう。