身代わりになれるなら「高校選手権に出場するスポーツ選手」
――本作でお気に入りのシーン、撮影が楽しかったり大変だったなと思うシーンを教えてください。
瑛太くんとのやり取りはストーリーを重視して、昔の関係性とはかけ離して、やりがいがありましたし、林くんとのシーンは、どれだけ遊びを作れるのか、まだなんかあるかなとずっと考えていたという点では結構苦労したけど、嫌な苦労じゃなかったです。
赤穂浪士が吉良家に討ち入りした後のシーンは、初めて台本を読んだ時から面白いと思っていたのですが、撮影当日に本当に雪が降ったんです。本物の雪でできるとは思っていなかったからすごく印象に残っています。ただ2日に分けての撮影だったので、スタッフさんが雪かきをしなきゃいけなくなって、ちょっと大変そうでした。
――本作では弟として兄の身代わりになりましたが、ご自身の容姿や才能は関係なく、身代わりになってみたいと思う方はいますか。
年末年始はラグビーやサッカーの高校選手権があるじゃないですか。お正月に高校ラグビーの決勝戦をテレビで観て、高校サッカーの決勝戦は国立競技場に観に行けたんです。この歳だからなのか、その真剣勝負にものすごく感動して、あの若さで、あの緊張感で、どうやって戦っているんだろうと圧倒されました。
僕は小学生の頃に野球をやっていたんですけど、すぐに野球の才能がないことを思い知らされたし、部活も入っていたけれどもその才能もなかったし。いや、もしかして才能があったのかもしれないけど開花するまで努力はしませんでした。僕にもう1回人生があるなら、どんなスポーツでもいいので、高校生という若さであの大きな舞台に立つ選手の身代わりになってみたいですね。
歴史は苦手意識があったけど、ふと自分が「歴史好き」と錯覚しそうに
――今後演じてみたい歴史上の人物はいますか。
大河ドラマ「どうする家康」(2023年、NHK)で豊臣秀吉を、本作で吉良上野介を演じたので、今はすぐ思い浮かばないです。でも今まで近代的な方はそこまで演じてきていないので、昭和の偉人とかは興味あります。昭和生まれだからこそ演じられる感覚があるかもしれないなって思います。
人物じゃないけど、“縄文時代”とか“石器時代”が舞台の物語ができるならやってみたいです。はるか昔すぎるので解釈し放題ですし、コメディーにもシリアスにも作れて、それに、きっと誰も傷つけないんじゃないかと。日本のスタッフで本気でやってみたらどうなるんだろう…とか、どういう台本でやったらドラマとして映画としてみんな観てくれるんだろう…とか思うと、チャレンジングでワクワクしちゃいます。
――最近は、時代劇に多数出演されていますが、子どもの頃は「歴史」に興味はありましたか。
僕、数学が好きで、国語や英語、歴史や地理は苦手だったんです。学問でいうと、歴史とかって暗記ベースじゃないですか。数学だけは、唯一暗記っていらないんですよね。なんでこの公式が生まれたかを理解していれば、公式も覚えなくていいんです。だから数学だけはパズル感覚でできて、白紙の解答用紙に“証明”を書くのが好きでした。
先にもお話しましたが、僕らの子ども時代は、テレビで時代劇が放送されることが多かったし、僕はおばあちゃん子だったので、今の子どもたちよりは時代劇は身近な存在だったと思います。だから学問としての「歴史」というよりも、時代劇を通した「歴史」の概要を知っていたぐらい。大人になって必要性が出て知識欲もわいてきて、今はいろいろ調べながら演じている感じです。
でも実は僕、ここまで時代劇をやるとは思ってなかったんですよね(笑)。もちろん京都の撮影所も大河の現場の緊張感も大好きです。最近、時代劇の出演が続いたこともあって、ふと自分が「歴史好き」と錯覚しそうになるときもありますけど、そもそもの知識をそんなに持ち合わせていないので、ひたすら勉強しながら取り組んでいます。