コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者・いずいずさんの実体験を描いた漫画『料亭でバイトしてた時の思い出』をピックアップ。
2023年11月23日に作者がX(旧Twitter)にシリーズとして投稿したところ、6300以上の“いいね”とともに読者から「面白すぎる」「元気がもらえる」などの声が多く寄せられ反響を集めている。この記事ではいずいずさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
謎の面接、日本の接待文化、ベテラン仲居…料亭での“ドタバタ”エピソードに反響
「着物が着たい」という思いもあって料亭でのアルバイトを希望したいずいずさんは、面接のためとある日本料理屋へと出向く。面接をするのは料理長である丸山という男性だが、いずいずさんを見て早々に「いや〜健康そうだね!イイね!」と言う。
いずいずさんは戸惑いながら「あ、ありがとうございます」と言葉を返すも、丸山は面接の合間にたびたび「風邪とか引かなさそうだよね」「じょうぶそう!素晴らしい!!イイね!」と褒めちぎる。その後、いずいずさんは無事合格するも丸山の言葉が気がかりで“あたしは農村に嫁ぐヨメか?”、“どんな重労働が待ってるんだろう”と恐怖を感じるのだった。しかし入社したいずいずさんはしばらくして、料理長には同僚たちから付けられた隠れたあだ名があることを知る…。
また、接待で利用する客へ料理を提供する順番を覚えることになったときのこと。上座下座の位置を知ると見えてくる日本の接待文化と“ヒエラルキー”に感心するいずいずさんだったが、座り順のイレギュラーもよく起こるという。教育係の荒井さんから「難しそうって思うかも知れないけど嗅覚でわかるようになるから大丈夫よ」と言われ驚くが、1年後、確かに嗅覚で客の中の“キーパーソン”を見抜けるようになっていたいずいずさんなのだった…。
実際に料亭で働いていたときに経験した出来事を、シュールなタッチのイラストで面白おかしく描く本作。これらの他にも、不思議な発言をする客やベテランな仲居たちの見事な仕事捌きなど普段なかなか知る機会のない料亭の“裏側”に、X(旧Twitter)上では「面白すぎてお茶吹いた」「クセ強すぎる…」「元気もらえる」「イラストのゆる加減最高!」「私も料亭でバイトしてたのでこの雰囲気が懐かしい」「接客業って人生の役に立つことが多いですよね」「飲食店でアルバイトする前に読んでおくと良いかも」など反響の声が多く寄せられている。
「バタバタ劇場のような毎日の臨場感を表現できたら」作者・いずいずさんが語る創作の背景とこだわり
――『料亭でバイトしてた時の思い出』を漫画として描こうと思ったきっかけや理由があれば教えてください。
わたし自身、お仕事漫画や知らない世界を知るのが好きなので、かつての経験をシェアしたら楽しんでもらえるかなと思い描きました。
――“どんぐり”料理長や不思議な発言をする客など、ゆるいタッチながらインパクト大に描かれている登場人物たちの表情もとても印象的でした。本作を描く際にこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたら教えて下さい。
働く仲間からお客様までとにかくキャラが濃くて毎日がバタバタ劇場のようでした。その臨場感を表現できたらいいなと思い、登場人物のビジュアルは存在が際立つようにしています。
――なかなか知ることのできない料亭の裏側について描かれた本作に読者からも反響が集まっていますが、中でも特に思い出深いエピソードや体験があれば教えてください。
具体的なエピソードではありませんが、今まで普通に生活していたら出会うことがなかった方たちと触れ合うことができたのは大きな経験だったと思います。あそこでの人間観察はモノを作る活動において貴重だったなと…。
――いずいずさんは本作以外にも、実の姉二人との思い出を綴った『三姉妹物語』や日々の家事育児を記録した『妻の名言集』など多くの作品を描かれていますが、実体験を漫画として描き上げる際のこだわりや特に意識している点はありますか?
こだわりとかメッセージ性は特にありません。仲のいい友達に「こんなことあったんだけど聞いてよー!」っていうテンションで描いてます。
授業中に回す手紙のノリです。ただプッと笑わせたい欲望は強めかもしれません。
――普段はイラストレーターとして活躍するいずいずさんですが、今後の展望や目標がありましたらお教えください。
ひとを笑わせたり驚かせるのが好きなので、一枚絵でも漫画でもそういうコミュニケーションがとれたらいいなと思っています。描いてる自分も楽しくて読む人も楽しいものを描き続けていきたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
みなさんのコメントや反応にいつも励まされています。これからもお付き合いいただけたら嬉しいです。