奈緒と木梨憲武がW主演を務めるドラマ「春になったら」(毎週月曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)。本作は、“3カ月後に結婚する娘”・瞳(奈緒)と、“3カ月後にこの世を去る父”・雅彦(木梨)が、「結婚までにやりたいことリスト」と「死ぬまでにやりたいことリスト」を実現していく3カ月間を描いた、笑って泣けるハートフル・ホームドラマ。このたび、WEBザテレビジョンでは、本作のプロデューサー・岡光寛子氏にインタビューを実施。本作の制作に至った経緯や、キャスティングの理由や撮影現場の様子、後半の見どころなどについて話を聞いた。
「春になったら」制作のきっかけ
――現在第7話まで放送されていますが、本作の反響についてどう感じていますか。
家族の始まりと終わりの対比を軸に、温かさと軽さの中に人生の機微や日常の尊さを見出すようなドラマにしたいと思っているので、放送後に「ちょっと遠くの親に電話してみよう」とか、「これは、わたしの物語だ」といった前向きな感想をいただけるのが、プロデューサーとして何よりうれしいです。
奈緒さんとは、初回の放送後に「ちゃんと届いたね」と話しました。父と娘の家族のドラマで、たくさんの世代の方に見てほしいという思いで撮影を続けていたので、私たちが届けたい思いがきちんと受け取ってもらえたんじゃないかと感じています。
そして、先週(2月26日)放送の第7話は特に反響が大きい回でした。父娘のキャンプや、2人のデュエット曲、カズマルくんの愛のプロポーズなど盛りだくさんの内容でしたが、皆さんが泣き笑いをしてくださっていることを反響を見て知り、大変うれしく思いました。
――あらためて本作が生まれた経緯について教えてください。
ご一緒するのが4作目となる白石裕菜プロデューサーとは、オリジナルの企画を考える雑談をよくしているんですけど、その中で「一緒に桜を見られたらいいですね」と祖母の余命が3カ月だと医者から宣告された時の話をしました。おばあちゃんの死期が分かったからこそ、じゃあ今、本人にとって何が幸せで、私たちは何をしてあげられるだろうかと、家族で色々考えて会議をしたりして。そういった経験から、誰もが迎える終末期を考えることが、自分らしい生き方に繋がるんじゃないかなと思ったことが、企画の発意になりました。それと同時に、企画当時はコロナ禍で結婚式が中止になったり、葬式は身内のみの参列となったり、人の喜びや悲しみを分け合える豊かな時間を一度失ってしまった、という話にもなりました。人生におけるたくさんの節目、新しい門出を誰とどんな風に祝福したいか、何かの終わりを誰と偲びながら過ごしたいか、そこにこそ人生を通して大切にしたいものが鮮明に映し出されるはずだと。
ただ、御涙頂戴のドラマにはしたくなく、シリアスな重たいテーマでありながらも、明るさやポップさを加えながら、家族や大切な人と見てもらえるような世界観のドラマにしたいですねという話をして、このドラマの形ができていきました。脚本の福田靖さんにはいくつか企画のご相談をする中で、本作が1番難しそうで、1番面白そうだと思ったとおっしゃっていただき、企画ファーストで進んでいったところに、奈緒さんと木梨さんがオファーを受けてくださり、オリジナル作品として成立したという経緯です。
「笑って泣ける」を大切にした作品づくり
――重いテーマではありますが、ジメジメと暗い感じではなく、明るく描かれている印象を視聴者としても感じました。
私たちの生活のすぐそばに、本当にこの仲の良い父娘が存在するんじゃないかと感じてもらえるような、とある家族の物語として届けたく、月並みですが「笑って泣ける」をすごく大事にしています。雅彦は「治療しない」という選択をしていますが、いろんな家族に、いろんな選択肢があると思うので、その全てを否定するような描き方はしたくないと思っています。それぞれの考え方があり正解が無いものですので。このドラマを毎週楽しんでご覧いただきながら、自分の家族や大切な人のこと、自分自身の人生を考える一助になっていればうれしいです。
――他に脚本作りで意識されたことはありますか?
脚本の福田靖さんと私は雅彦と瞳の年齢に近く、福田さんはお父さん目線、私は娘目線で、お互いの立場で会話をしながらオリジナルのドラマを作っています。クランクインする前から、奈緒さん、木梨さん、福田さんとスタッフで食事会を行うなど、交流を重ねる中で脚本ができあがっていったので、お二人に当て書きをしてキャラクターが作られているというのが、非常に良かったと思っています。