悪魔の血を引く少年・奥村燐(CV:岡本信彦)が、父親である魔神(サタン)を倒すために最強の“祓魔師(エクソシスト)”を目指す『青の祓魔師』のTVアニメ第3シーズン『島根啓明結社篇』(毎週土曜夜24:30-25:00ほか、TOKYO MXほか/U-NEXT・Hulu・dアニメストア・アニメ放題ほかで配信)。悪魔とのド派手なバトルが見どころのダークファンタジーながら、家族や友達との絆、葛藤や成長、青春コメディまで、少年漫画の醍醐味がギュッと詰まった大人気シリーズだ。放送も残すところあとわずかで、クライマックスに向けてさらに盛り上がりが加速するなか、今回は『島根啓明結社篇』のキーマンのひとりである神木出雲を演じる喜多村英梨さんのインタビューをお届け。シリーズを通じて出雲というキャラクターをどう捉え、どう演じてきたのか、たっぷりと伺いました。
昔は背伸びして演じていたけど今はリラックスできるように
——約7年ぶりの新シリーズですね。
喜多村英梨 やりましたね! じつは『京都不浄王編』のアフレコの際に、「もし『島根啓明結社篇』をやることになったら、いよいよ出雲のターンだね」みたいなことを話していて、キャストみんなで盛り上がっていたんですよ。それから1年が経ち、2年が経ち……もちろんひとりの『青エク』ファンとしては、原作漫画が続いてくださっているだけで最高に嬉しいんですけど、それでも頭のどこかでは「続編やらないのかな? いや来年にもやるかもしれないし! いやでもやっぱり無理なのかな……」と答えのない問答を続けていて。まあ、要するに完全にオタクな時間を過ごしていました(笑)。だからこそ、ついに『島根啓明結社篇』がアニメ化されると聞いたときは大歓喜でした。『島根啓明結社篇』って、私が出雲を演じているからとかは関係なく、本当にいちばん好きな章なんです。
——出雲を演じたのは久しぶりだと思いますが、感覚的にはすぐにつかめましたか?
喜多村 それが、正直なところ昔よりもリラックスして臨めた気がするんですよね。そもそも最初に出雲を演じたときはまだまだ若手でかなり意気込んでいて、もう必死に出雲を作って演じていたんです。今は当時よりも多少は経験も技量もあるので、そこまで気負うこともなく、『青エク』ファンとしての愛情だけをもって楽しく現場に入ることができました。リアルな年齢で言えば昔のほうが出雲に近かったはずなんですけど、今のほうが自然体で演じられていて、なんだか不思議ですね。
——時間をかけて出雲が自分に染み付いてきたと言うことですよね。
喜多村 そうなんですよ。でも、そう言っておいて「出雲、老けた?」って思われてたらどうしよう(笑)。とにかく、個人的な感覚で言えば昔よりも演じやすくなってきたというのは本当なんです。当時は背伸びしていろいろなアクセサリーを付けまくって演じていたような気がするんですけど、今はそれがない感じですね。
――喜多村さんが出雲を演じる際に大切にしていることはありますか?
喜多村 もともと原作を愛読していたこともあって、私のなかで出雲は「ツンデレを具現化した子」なんです。なので、最初はとくにツンデレ感を意識していました。ただ、現場では私が思い描いていたツンデレよりもかなりキツめの雰囲気にディレクションされることが多くて、そこは内心「本当はもうちょっと可愛く演じたいんだけどな」って思うこともありましたね(笑)。
――たしかに出雲は、とくに序盤はかなり嫌なキャラクターとして味付けされていましたね。
喜多村 私自身、主人公然としたキャラクターよりも、影を感じたり裏のあるキャラクターのほうが大好きなタイプで、そう言う意味で出雲ってドンピシャではあるんです。だからたとえ出雲の好感度が下がっていったとしても、そこは展開上必要な演出だということは分かっていますし、むしろそのほうが美味しいとさえ思っちゃうこともあります。「でも、あとでその理由がちゃんと語られるんでしょ?」って思うと、すべてを受け入れちゃうんですよね。もはや性癖なんですけど(笑)。
――それでも「もっと可愛く演じたい」という気持ちもあったんですね。
喜多村 そうですね。でもそれは単純に出雲を可愛く見せたいというよりは、いつか見せるであろうデレ展開に向けて、そのための余地を作っておきたいなという気持ちからです。演出的には不要なことも理解できるので、そこは私のエゴではあるんですけど。そういう意味で、出雲って一筋縄ではいかないキャラクターだなと感じます。
――おっしゃる通り、かなり「ツン」が目立った出雲ですが、原作の人気投票では女性キャラでトップを獲得するなど、結果としては人気キャラになりましたね。
喜多村 なんだかんだでMっ気のある人が多いんですよ。燐役の岡本信彦君もわりとM寄りなんですけど、やっぱり出雲が好きだって言ってましたから(笑)。
花澤香菜ちゃんはしえみそのまんま なんでも包み込んでくれます
――過去シリーズで、とくに思い出に残っているシーンはどこになりますか?
喜多村 『京都不浄王篇』の第11話で、しえみが出雲に向かって「神木さんが私を嫌いでも 私は神木さんが大好きだよ」って笑いかけるシーンですね。あそこは『島根啓明結社篇』での出雲にも繋がる布石になっているような気がするんです。『島根啓明結社篇』で分かることですけど、出雲ってじつはずっと愛を求めていたことが分かるじゃないですか。それを踏まえると、このシーンは本当により一層エモく感じます。しえみが持っている“無償の愛”は、もはや聖母だなって。それはきっと出雲にも刺さったと思いますし、今にして思えば出雲が本当の自分を出し始めた、つまりはデレ始めた起点はこの瞬間だったような気もしていて、改めてここは感慨深いなと感じます。
――しえみとの関係性で言うと、『島根啓明結社篇』ではさらに大きく前進しましたね。
喜多村 第10話で、出雲としえみが二人で泣き笑いするシーンは本当に印象深いです。まだちょっと天邪鬼な感じも残ってはいるんですけど、それでもしえみは全部受け止めてくれている感じがしますし、最高ですね。ここは香菜ちゃんと一緒に芝居をしているときからずっと感動しっぱなしだったんです。もはや出雲にとってしえみは“親友”という言葉だけでは表現できないような、なにか特別な存在になったような気がしますね。
――ちなみに喜多村さんは花澤香菜さんとデビュー作が同じで、言わば同期です。プライベートでの二人の関係性は、どんな雰囲気なのでしょうか?
喜多村 傍目から見たら、出雲としえみの感じに似ているかもしれないですね。私がバーって喋って、それを香菜ちゃんがうんうんと頷きながらひたすら聞いてくれたり。さすがに私は出雲のように泣きわめいたりはしませんけど、香菜ちゃんは本当に温かい人柄で、しえみのまんまな気がします。もしかすると「喜多村と香菜ちゃんって属性が違いすぎない?」って思われる人もいらっしゃるかもしれないんですけど、ふつうに仲良しですし、すごく自然体でいられるんですよ。例えるなら長年一緒に住んでいるルームメイトみたいな。先日二人でご飯に行った時も、対面じゃなくて横並びに座って過ごしたくらいです(笑)。
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