黒見明香がメイドインジャパン、匠の技に迫る!
今年の連載は、私自身がいろいろなところに取材に赴き、より立体的にMLBの魅力を伝えられたらと思っています。第1回目にお伺いするのが野球用具メーカー「ベルガードファクトリージャパン」。こちらで作られた打者用のプロテクターや、キャッチャー用のプロテクターは、多くの一流メジャーリーガーが愛用している製品で、インスタグラムを通じて直接メジャーリーガーから依頼が来るほどだそうです。海外の大手スポーツメーカーが市場を占める業界のなか、なぜメイドインジャパンの製品が支持されているのでしょうか――。代表取締役社長の永井和人さんに突撃取材しちゃいます!
経営破綻からの奇跡の復活劇
黒見:2012年に一度会社が経営破綻したところから、現在メジャーリーガーからオファーが殺到するようなところまで立ち直ったとお聞きしたのですが。
永井:元々僕は職人として29年働いていたのですが、会社自体がなくなってしまって……。でもベルガードのファンが結構いてくださって「続けて欲しい」という声が多かったので、商標を引き継いで始めたんです。最初は全部なくなってしまったので、一からのスタートでした。審判の防具から始めて、MLB選手のネットワークがあったので、そこから打者の防具へと進んでいった感じです。
黒見:マリナーズ時代のイチロー選手のトレーナーさんも広めてくださったと。
永井:そうですね。マリナーズの選手で日本の防具を使いたい人がいないか聞いてもらったら「俺も」という方がいてくれて。MLBは移籍が多いので、移籍した選手がまた広めてくれて、どんどん広がっていった感じです。いまフィリーズは球団からオファーいただいています。一番多い時で、MLBで80名ぐらいの選手に使っていただいていましたね。
黒見:現在は何人ぐらいで作られているんですか?
永井:職人は3人で、私を含めても5人ぐらいで、全てを行っています。
黒見:いろいろな機械を見させていただきましたが、本当にミシンで一つ一つ手作りで行っているんですね。驚きました。
永井:打者防具、キャッチャー防具、審判の防具などを作っていますね。ちょうどキャンプ前ぐらいになるとドッと発注がくるので、一番忙しいです。MLBの選手などは突然インスタグラムなどからダイレクトメッセージで依頼がきたりするんです。この間もパドレスの選手から、今年は韓国で開幕戦なので、韓国に送ってくれという連絡もありました。
黒見:どんな防具が、一番需要があるのですか?
永井:MLBの選手はほぼ打者用の防具ですね。カスタムメイドで作ってくれる会社がアメリカにはないので「この色で」とか「名前を入れてくれ」という要望が多いです。ゴリラという愛称なのでゴリラのマークを入れてくれとか、サンフランシスコ・ジャイアンツのパブロ・サンドバル選手は“カンフーパンダ”という愛称なので、カタカナで「パンダ」と入れてくれなんていう要望もありました。