番組を通じて「世界遺産の魅力を皆さんに伝えたい」
――屋久島ロケに行かれてみていかがでしたか?
屋久島は思っていた以上にすごいです。知識はあるのですが、行ってみて分かることってその10倍あるので…“こんなにすごい島だったんだ”と感じました。森に一歩足を踏み入れただけで“(空気が)違うな”と。それはスピリチュアル的なことではなく、そこにはすさまじい生命力がありました。
自分自身この番組のファンなので“今のカメラアングルこっちの方がいいかも”とか思うところもあるんです。「同じフレームに植物の霜と、海を入れた方がいいと思います」と伝えると、プロの方々がその通り撮ってくださるのも楽しかったですね。
――今後番組で深掘りしたい世界遺産はありますか?
たくさんあります! シュトルーヴェの測地弧というものがヨーロッパにあるのですが、国をまたいで何カ所もあるんです。ですが、実際に訪れてみると、“ここです”と書かれた記念碑しかなくて。
世界遺産と聞くと、きっと素晴らしい景色や建物があるイメージがあると思うのですが、実はそうではなく、人類が遺していくべき宝なんです。
シュトルーヴェの測地弧は初めて地球の長さを測った跡であり、人類にとって大きな一歩なのですが、世界遺産としては画にならないんですよね。でも、僕はこの番組を通して、そういった世界遺産の魅力も届けていきたいなと思っています!
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
自分も世界遺産が好きということは置いておいて、まずはその魅力を皆さんに伝えたいです。
主役はあくまで世界遺産なので、それをどう伝えるかということを試行錯誤しているのですが、『世界遺産』という番組のファンは日本中にいると思うので、皆さんにも意見を言っていただいて、そのフィードバックを受けて自分のナレーションも変えていきたいですし、番組スタッフにとっても大事な意見になると思います。
何かの方法で発信していただけたら、うれしいです。そして僕も少しずついい形を探っていけたらなと思っています。
旅をしたり、旅に出なくても自分が行ったことのない場所を映像で見たり、知れるということ自体がすごく豊かな体験だと思いますので、1週間に1回、30分くらい少しソファーに横になりながら、別世界を感じていただいて、そして寝落ちするなんて時間を取っていただきたいと思います!
◆取材裏話
取材部屋に入って来て早々、自らの名前が大きく書かれたプレートを目にした鈴木は「謝罪会みたい」とどこか楽しそうにつぶやくと、次の瞬間、「どうもすみませんでした!」と、会見さながらの謝罪を披露。ノリが良すぎる鈴木の言動にその場に集まった記者たちからドッと笑い声が起こり、和やかなムードで取材会がスタートした。
取材に立ち会った堤慶太プロデューサーから「今日2回目のナレーション収録をしたのですが、『世界遺産』では特別な用語もあるので、これまでの方は(言葉に)慣れるまで収録に時間がかかっていたのですが、鈴木さんは2回目にしてものすごくスムーズ。元から持っている知識量などが違うんだろうなと改めて感じた次第です」と絶賛されると、鈴木は時々恐縮しながらも、うれしそうな表情を浮かべていた。
世界遺産の魅力を教えてくれた、まさに原点ともいえる番組にナビゲーターとして携わることになった鈴木。豊富な知識量のみならず、人々の心を揺さぶる熱い言葉の数々で、より一層“世界遺産”を愛する人が増えるのは間違いなさそうだ。
取材・文=たくあんとほたて