岡本健一 コメント
3年前は圭人が初舞台だったので、その時と比べると今回感じるものは全然別次元だし、子供の成長は早いなと…(笑)。ただ、大人も同じように成長していないといけないですね。この3年間は世界的にも戦争や震災があったり、世界中がより家族について考えていた気がしています。
そういう時にこれからを担う若者たちに大人たちがどう対応していくか、この作品にはそういったすごく大事な部分が描かれているので、言葉で表すのが難しいものを劇場に来れば体感できるというのが舞台の面白さだと思うので、ぜひこの作品を観て感じて欲しいと思います。
稽古期間は2か月以上あって、スタッフのみんなも何か月もかけて準備してくれて、肉体と精神を使って涙を流したり汗かいて作り上げてきているので、その感じをお客様と一緒に共有できる時間が楽しみでしょうがないです。ご覧くださったお客様が胸を鷲掴みにされるような感情になるのは、ゼレールの脚本のすごさとラッドの演出が世界最高レベルだからだと思います。
このタイミングで、東京や日本各地で観れるというのはすごく贅沢なことで、本来であれば、日本にいたら観られない世界だと思いますし、劇場に来てもらえればこの物語の素晴らしさや大切さをすごく感じてもらえると思います。圭人とは、もう共演しないと思うので…見逃さないでください(笑)。ぜひ劇場で体感して欲しいと思います。
ラディスラス・ショラー コメント
フランスでの公演もあわせると、この「家族三部作」に私が関わるようになって、約12年になりますが、日本で三部作全てを上演することができてすごく嬉しいです。稽古期間は本当に密度が濃く、大変でしたが楽しく、喜びに満ちた時間でもありました。
4月5日に「La Mere 母」の初日の幕が上がったばかりなので、数日後に2番目の初日があるという非常に珍しいケースで、なかなか無いことですし緊張もしていますが、私はこのチームの俳優たちを信じています。
「Le Fils 息子」初演から3年という時が流れました。時間が経つと、人間は感じ方が変わります。なので前回のクリエーション時から3年を経た今、私たちの感受性が変化していることによって演出に多少の違いを生んでいると思います。今回の「母」「息子」はまるで鏡合わせのような2作品なので、これらを同時に上演することで、お互いの作品に影響を与え合っていると思います。
このチームはまるでファミリーのようなので、家族三部作には本当にふさわしいと思いますし、これらを完走することによって、私たちの間にはより強い絆が生まれるでしょう。この三部作は、“人生”に似ているんだと思います。ご覧になる方は必ず“自分自身”をこの作品の中に見出すことでしょう。
「Le Fils 息子」あらすじ
両親の離婚後、学校にも登校せず一日中独り行くあてもなく過ごしていたニコラは、とうとう学校を退学になってしまう。そんなニコラの様子を聞いた父親・ピエールは、離婚・再婚後、初めて息子と正面から向き合おうとする。
生活環境を変えることが、唯一自分を救う方法だと思えたニコラは、父親と再婚相手、そして年の離れた小さな弟と一緒に暮らしはじめるのだが、そこでも自分の居場所を見つけられずにいた。
※「La Mere 母」の「Me」、「Le Pere 父」の「Pe」の「e」は正しくは、アキュート・アクセントを付した文字