コロナ禍の影響で配信のみとなっていたディズニー&ピクサーの“泣ける名作”の劇場上映。いよいよ第3弾が4月12日(金)より全国劇場にて公開される。トリを飾るのは、これまで以上に大人の胸に迫る「ソウルフル・ワールド(日本語吹替版)」(2020年)だ。(以下、ネタバレを含みます)
監督は本作で3度目のアカデミー賞に輝いた名手腕
ディズニー&ピクサーの最新作「インサイド・ヘッド2」が8月1日(木)より日本公開されることを記念し、劇場未公開3作品がスクリーンに初登場。「私ときどきレッサーパンダ」「あの夏のルカ」に続き、4月12日(金)より上映スタートする「ソウルフル・ワールド」は、「インサイド・ヘッド」(2015年)を手掛けたピート・ドクター監督の作品だ。
大学を卒業後、ピクサー・アニメーション・スタジオに入社した同監督は、ピクサーの原点ともいわれる世界初のフルCG長編アニメーション「トイ・ストーリー」(1996年)でジョン・ラセター監督の下で原案と主人公の相棒バズ・ライトイヤーのキャラクターを担当した。その後「モンスターズ・インク」(2001年)で長編監督デビューをすると、3作目の「カールじいさんの空飛ぶ家」(2009年)では「第82回アカデミー賞」の作品賞や脚本賞にノミネートもされつつ、長編アニメーション賞を受賞。続く「インサイド・ヘッド」が第88回、そして本作が第93回と、それぞれアカデミー賞長編アニメーション賞を獲得した。現在はピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)も務めている。
人間が生まれる前の世界を描く独創的ストーリー
本作の主人公は、ニューヨークでジャズ・ピアニストを夢見ながら音楽教師をしているジョー(CV:浜野謙太)。ある日、一流ジャズクラブで演奏するチャンスを得て喜びに沸いていたところ、うっかりマンホールに落下し、死後の世界に続く道から脱線して人間が生まれる前の世界へ迷い込んでしまう。その世界には番号で呼ばれるソウル(魂)たちがいて、「どんな自分になるか」を決めて地上へと生まれていくのだった。
丸っこいキャラクターのソウルたちがキュートで子どもたちの目も楽しませてくれるのだが、どちらかといえばストーリーは大人向けの印象。「全宇宙の量子化された場の集合体」なんていう存在がいて、“ゾーン”という肉体と精神の間の概念があってそこに迷える魂がいたり、その後の展開でもせりふ含めて哲学的なものを感じるのだ。
また、かつて地上にいた時に功績をあげたり、優秀だった人々はメンター(指導者)としてソウルたちを導いているというのだが、エイブラハム・リンカーン元アメリカ大統領やマハトマ・ガンジー、マザー・テレサ、モハメド・アリ、マリー・アントワネット、心理学者のカール・グスタフ・ユングなど多彩な歴史上の人物がいるとされる。もちろん子どもたちも学ぶ偉人たちなのだが、大人のほうが理解と納得しやすいだろう。
そんな中で、人の個性は自然に備わるのではなく、この生まれる前の世界で、興奮しやすいとか、冷淡だったり、自己中だったりというのが加わって、完成していくというのは、ユニークだが、なるほど、こんなふうになっているのかもとも思える。そういったことを可視化するのは、ピクサーのストーリーテリングのうまさでもある。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/soul
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