コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回取り上げるのは、まえだ永吉さんが手がけた『能登半島地震体験記』だ。
同作は石川県の能登南部に住んでいるまえださんが、実際に能登半島地震を体験した時のことを綴った作品で、自身のX(旧Twitter)に投稿されると、約4万もの「いいね」が寄せられている。そこで作者のまえださんに、『能登半島地震体験記』を描いたきっかけについて話を伺った。
能登半島地震を慌ただしくも耐え続けた「リアルな奮闘記」
2024年1月1日、両親と一緒に能登南部に住んでいるまえださんは、2階の自室でスマホゲームを嗜みながらくつろいでいた。
午前4時6分、スマホから緊急地震速報の警告音が鳴り、両親、帰省中の弟とともに、慌てて外へと避難。揺れが落ち着き、そろそろ家に戻ろうとした午後4時10分、前回と比べものにならないほどの大きな揺れがやってくる。その揺れは「震度6強」を観測した。
まえださんは、この時のことを次のように振り返っている。
「異様な音がそこら中に鳴り響く」
「洗濯機の中にいるような回転が混じった激しい横揺れ」
「車と前の川が左右に大きく揺さぶられていた」
「しかも長い」
その後も津波の危険があるために、まえださん一向は、慌ただしくも避難先に指定されている高台に。そして、津波の危険が去るまで高台で過ごし、「自宅が損壊していないか」と不安になりながらも家に帰宅すると、そこには…。
リアルな大地震の体験談をコミカルに描いた同作には、「地震の怖さが伝わった」「勉強になってありがたい」といった好評の声や、過去に震災を経験した人からの当時を振り返るエピソードなども寄せられていた。
作者・まえださん「能登のことを忘れないでほしい」
――『能登半島地震体験記』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私自身も東日本大震災や熊本地震などの体験記を読んだり見たりして防災知識を取り入れていたので、私が描いた体験記も誰かの防災知識の足しになればいいなと思ったのがきっかけです。一度描き始める前に「地震体験記描きたい」とポストしたところ結構反応をいただけたので、それも後押しになりました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
「誰でも読みやすいように」を意識しました。実際は不安と恐怖でかなり精神が疲弊していたのですが、漫画にするならコミカルにした方が読みやすいだろうと思い、できるだけ暗いイメージにならないようにしました。読んでくださった方の感想に「読みやすい」があって嬉しかったのはもちろん、「コミカルに描いてるけど漫画にはないところで苦労されたんだろうな」という声もあって、みなさんの察し能力すごいなと…。
注目してほしいところは…漫画のことじゃないんですが、能登北部は“もっとひどい”ということです。私の心労なんか比になりません。奥能登に住んでいたら、こんな風に漫画にすることもできなかったと思います。
2024年4月現在、県内ニュースでは能登半島地震のことは毎日のようにやっているんですが、おそらく全国ニュースではもうほとんど報道されていないですよね。能登ではまだ断水が続いていたり、倒壊した家がそのままなど状況が変わっていないものもあります。まだまだ支援を必要としていること、まだ大変な思いをされている人がいること、全部ひっくるめて、能登のことを忘れないでほしいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
高台避難で家族全員役割を持って一斉に動き出したシーンですかね…。本当に「散っ!!」という感じで漫画とかでよく見る任務開始感がすごかったです。特に前もっての役割分担とかは決めていなかったのですが、描きながら「この家族…やるやん…」と自画自賛していました。
――実際に震災を経験して、その恐怖を生で感じられたと思いますが、特に近年の東京では大きな地震がないために地震対策をしていない人も少なくないのではと個人的に感じています。まだ準備を進めていない人たちにメッセージやアドバイスを送るとしたら、どのような言葉になるでしょうか。
日本はいつどこで地震が起こってもおかしくありません。いざその時になって「何も準備してない!」となっても、もう遅いです。東京など人が多いところは余計に支援物資なども行き渡らないかもしれませんし、ご自身のために、ご家族のために、準備ができるものはしておいて絶対損はないですよ!
――今後の展望や目標をお教えください。
普段はXで「聞いてくれ!こんなことがあったんだよ!」みたいな自分の人生と日常の愚痴を漫画にしてストレスを発散しています。暇つぶしでもなんでもいいので、読んでいただけたら嬉しいです!今後は上記のこと以外に石川県のことも、いろいろ発信して少しでも能登の、石川県の力になれればと思っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
地震体験記はたくさんの方に読んでいただき、メッセージもいただきました。全て目頭熱くして読みました。本当にありがとうございました。改めてご自身の災害対策見直してくださいね!
個人的な日常漫画などは、これからも皆様の暇をつぶせるような漫画を描いていきたいと思っておりますのでどうぞ、温かい目で見てやってください。
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