コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、北海道在住の漫画家である箕田海道さんの『「歌ってる時の顔ってHしてる時の顔らしいよ」っていう漫画』だ。
同作は、大学の先輩と後輩の仲である女子2人のカラオケの様子を描いた作品。箕田さんが自身のX(旧Twitter)に投稿すると、1.3万もの「いいね」が寄せられて多くの人から注目を集めている。
そこで作者である箕田に同作を描いたきっかけや、こだわりのポイントについて話を伺った。
カラオケを通じて距離を縮める女子大学生の2人
春になり高校2年生となった滝は、晴れて大学1年生となった2個上の先輩の佐保とカラオケに行く。終始落ち着いた様子の佐保は、「はい 滝さんから歌って」と先に滝から歌うように促す。
「なんかあったんだな」と察した滝は、言われるがまま曲を入れて歌い始めるも、すべて歌い切る前に停止。すると、佐保は「私の前でもヒトカラの時と同じように歌っていいのに」と告げ、さらに「歌ってる時の顏ってHする時の顏って聞いた」と反応に困るようなことを切り出す。
滝が驚いていると、佐保はその話を教えてきた友達に対し、不快に感じたために絶交したという。また、絶好した理由について「私の大事な空間に 余計なものを持ち込まれたくなかった」と語る。
その言葉に対して滝は「佐保さんが動じなければ 何言われようがどうでもいいじゃん」と返し、さらに2人は会話を重ねた。そして、カラオケの時間が余っているため、今度は佐保が歌い始め…。
滝と佐保のカラオケでの様子を描いた同作には、「これを読んでから人が歌っている時、その目線で見てしまう」「確かに歌唱中の表情って何かエモいよね」といった声が寄せられていた。
作者・箕田さんの心身回復方法は「カラオケ」
――『「歌ってる時の顔ってHしてる時の顔らしいよ」っていう漫画』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
過去に女子高生2人がカラオケ店で出会う漫画を描いていて、その続編として『「歌ってる時の顔って(略)』を描きました。
滝さんと佐保さんというタイプの異なる2人が、それぞれヒトカラを楽しんでいて、それから意気投合して2人でカラオケに行くようになる話なのですが、年上の佐保さんが高校を卒業してからも、この2人は一緒に歌っているんだろうなと思ったのが続編を描くきっかけでした。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
冒頭1ページ目の佐保さんの露骨に嫌悪している表情です。
この漫画を描いてから3年くらい経っているのですが、「友達のたった一言がそんなに嫌だったんだ」「『絶交』って、幼い子供じゃないんだから」「シャットアウトするんじゃなくてもっと対話してみなよ」と言いたくなるような、佐保さんの精神的な未熟さが改めて描きたいポイントだったんだろうなと思います。
描きたいとは言っても、その精神的な部分について言及したり解決する為のストーリーラインにする必要はなく、「佐保さんが滝さんといたいからいる」「滝さんも佐保さんといたいからいる」という2人が存在する「カラオケという空間」をただ切り取るだけでいいんだと思います。
佐保さんに絶交宣言を下された友達もいつかまた描いてみたいです。彼女達の葛藤が詰まった絶交からの人間関係再構築、「関係性をやり直す話」も絶対楽しいので。友達の表情が単純にめちゃくちゃ好きです。こういう顔の女の子最高です。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
歌っている横顔のコマがお気に入りです。台詞なしで、ひたすら歌う顔のコマを何個も描きたくてこの漫画を描いたようなものなので…。気に入っている台詞は滝さんの「否定も肯定もするわけでもなく適当に流してきたけど」です。否定も肯定もせずというスタンスで人と接するのが滝さんの本質で、だから佐保さんは滝さんといるのではないでしょうか。
――話が少し脱線するのですが、やはり箕田さんもカラオケはお好きなのでしょうか?
好きです。ヒトカラも2~3人で行くカラオケも大人数で行くカラオケも好きです。原稿締切明けに休息もとらずに田舎のカラオケ店へ走り、3、4時間くらい歌うことで心身が回復し、また原稿…というサイクルで生きています。
――今後の展望や目標をお教えください。
もっと漫画を描きたいです。何かに対して切実で必死な人間をあらゆる切り口から追いかけていきたい。とにかく目の前の原稿を着実に形にしていくことが直近の目標です。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも漫画を読んで下さり本当にありがとうございます。こちらの記事で名前を知ったという方もありがとうございます!
ちょうど新年度にこちらの記事を公開いただくこととなり、『滝と佐保』の2人のように進級や進学、新しい職場、新しく出会う人達とのやり取り…など様々なイベントを今まさに経験している方も読まれているのかと思うと緊張します。拙く短い漫画ですが、新生活のちょっとした合間にひと息つけるようなものであればいいなと…。
現在、COMIC BRIDGEで『蝶と帝国』というタイトルのコミカライズ作品を連載中です。帝政ロシア×百合×SFそして復讐劇という要素で構成された非常にメッセージ性の強い作品です。現在第1巻が発売中ですので、ご興味のある方は、小説家・南木義隆先生による原作小説と共に読んでいただけますと幸いです。
また、今年1月12日に発売されたビックコミックスペリオール3号及びビッコミにて、『ラブホに誘われやることは』というタイトルの読切作品を掲載いただいています。他の作品とは全く異なる切り口で描かせていただいていますが、こちらの記事で紹介いただいた『滝と佐保』と同様にカラオケ要素を含むお話なので、ご興味があればぜひ!
連載中のコミカライズ作品や、オリジナル作品を楽しみにして下さっている方に新作をお届けできるよう複数作準備中ですので、これからも活動を見守っていただけると幸いです。
Xアカウント(@M_N_D_H_)でも色々上げています。良かったらチェックしてみて下さい!ここまで読んでいただきありがとうございました!
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小学館
発売日: 2024/01/12