長谷川博己は「常に自分と戦っていらっしゃる」
――長谷川博己さんとの共演についてお聞かせください。
8年前にご一緒させていただいたとき、私は10代だったのですが、島での撮影に1人で行っていて不安な中、長谷川さんが撮影以外のときにも話しかけてくださったことを今も覚えています。
今でもすごく柔らかくてチャーミングな方なのですが、役のスイッチが入ると本当に迫力がありますし、妥協をしないというか、どのシーンでも絶対に納得のいくものを出される姿に刺激を受けています。
法廷は特に長いシーンになるので、どこかで「もういいんじゃないか」と思ってしまう自分もいると思うのですが、長谷川さんはそういうことが一切なくて、常に自分と戦っていらっしゃる姿を見せてくださり、そうやって私たちのお芝居も引き上げてくださるので、実際にも事務所の先生と後輩のように食らいついていっています。
――北村匠海さんとのバディ感も出てきましたが、演じるにあたりお二人で何か話し合いはされていますか?
第4話で、紫ノ宮が赤峰に過去のことを打ち明けていくシーンがあったのですが、そのシーンの際は2人でどういうふうにしようかということを話しました。
紫ノ宮は父のことをずっと知りたいと思っていて、それを人に伝えることもきっと初めてだったと思います。すごくショックなことではあるけれど、明墨法律事務所の一員として、弁護士として、どう向き合っていくかという大事な場面でした。
気持ちがどんどん落ちてしまう中で、北村さんが「こういうお芝居のときは受け取る側の人がすごく重要だから僕が頑張ります」とさらっとおっしゃってくださって、そのときに、“やっぱりお芝居は人と人とのキャッチボールなんだな”ということを改めて感じました。
第5話の放送が終わり父とも決着は着いたので、ここから私たちは明墨さんの過去についてや父がそこに関わっているのではないかということを探っていくバディになり、2人のシーンがかなり増えてくると思います。
これまではそれぞれが抱えていたものを探っていて、赤峰にはずっと強い態度で当たっていたのですが、きっと最初から2人は同じ線の上にいてそれにただ気付いていなかったのだと思います。ここから最終回に向けては、2人が明墨法律事務所の一員としてどのように動いていくのかというところが見どころになってくると思います。
――藤木直人さんとの共演についてお聞かせください。
初めてお会いしたのは、第5話の対峙シーンでした。久々に実家に戻ってきて父とお惣菜を食べるシーンだったのですが、紫ノ宮も父と会っていない時間があるので、そこは逆に“はじめまして”で良かったのではないかなと。あまりにもコミュニケーションを取りすぎていたら出せないものだったのかなと思います。
劇中ではバチバチしていますが、普段の藤木さんは、プライベートなお話をしてくださったり、「オールスター感謝祭」の前は、まるでお父さんのように「こういうふうにやったらクイズがうまくいくよ」「頑張ってね」と言ってくださるなど、とても優しい方です。
――大島優子さん、林泰文さんも含めた明墨法律事務所メンバーの撮影現場での様子やチームワークを教えてください。
作品自体は専門用語とかがたくさんあって大変なシーンもありますが、事務所はそのメンバーの他にミルもいて、現場の空気感はすごく和気あいあいとしています。
それぞれの年齢もバラバラな中でいろいろなお話をしていて、大島さんや林さんのプライベートなお話を聞いてほっこりしたり、ミルがいてすごく癒されたり。お二人の包容力を感じています。
法廷のシーンなどを撮っていると北村さんの隣にいることが多いのですが、「事務所に帰りたいね」「あの2人に会いたいね」といつも話しています。
――紫ノ宮としての正義についてはどう分析されていますか?
正義って本当に難しい言葉だなと思うのですが、悪でもその中に正義があったり、正義という言葉を掲げれば成立してしまうというのも怖さだなと思っています。
そんな中で、「正義の“正”という字は漢数字の一に止まると書くから、一度立ち止まることなんだ」というのを本で読んだことがあったんです。それって本当にそうだなと思っていて。
いろいろな物事を何も考えずにそれが正しいと思って突き進んでしまうと、誰かを傷つけてしまうことにもなるかもしれないので、一度立ち止まって、他人の人生ではない自分の人生としてちゃんと責任を持って生きていくということが、紫ノ宮というよりも私自身の正義だなと感じています。