コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、陰キャの魔王が人間界に溶け込んでいく様子を描いた『田舎に引っ越してきた陰キャの魔王様、最高の風呂を発見してしまう』をピックアップ。
作者の渡邉ポポさんが4月29日にX(旧Twitter)で同作を投稿したところ、そのツイートには2.4万以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、渡邉ポポさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
「陰キャ」の魔王がお風呂をきっかけに「引きこもり」に
魔界の浴場に嫌気がさしていた魔王は、「一人でお風呂に入りたい」と、川辺でドラム缶風呂を作ることにした。川から汲んだ水をドラム缶に張り、"火の魔法”を使って一気に沸かそうとするも、魔力が強すぎて火力の調整ができず、失敗を繰り返してしまう。
川に遊びに来ていた、日熊るこ・ビビアン・宝塚こりすの3人は、魔王が起こす爆発を遠くから目撃していた。小枝に火をつけて湯を沸かそうと奮闘する魔王のもとに、3人が到着する。
「あの、すいません。こんにちは」とビビアンが話しかけると、魔王はパニックを起こし、魔法によって姿を消した。「何だあの人間、急に話しかけてきた。コワッ。田舎にもああいうやつがいるのか」人間たちから距離をとり、胸をなでおろす魔王。積極的に声をかけられたことで心身ともに疲労困憊し、自宅に戻ったのだった。
家の中を探索するうち、魔王はたまたま浴槽を見つける。かなり狭いが、一人で入るには充分な広さだった。そして偶然にも、青い蛇口からは水が、赤い蛇口からはお湯が出ることを発見してしまう。
「信じられないズボラさ。水を汲みに行く気もない」
自分と同じくらいに人間も『陰キャ』であることを再確認した魔王は、たっぷりと自宅での入浴タイムを堪能し、めでたく『引きこもり』へと昇格したのだった。
作品を読んだ読者からは、「なんだこのゆるふわな魔王様は…」「なんかめっちゃいいな。なごむ」「水道代、ガス代の存在知ったら慌てそうな魔王様…かわいい」といった声が上がっていた。
「キャラをいいと思ってもらうことが最重要」作者:渡邉ポポさんが語る制作の背景
――「田舎に引っ越してきた陰キャの魔王様、最高の風呂を発見してしまう」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
「異世界から来た魔王様から見たこちらの世界のいいところ」を描こうというのがテーマでした。
作中の魔王ミミドラは「コミュ障、陰キャ」という設定なので、一人で風呂に入りたいはず。
(魔界では世話係がたくさんいた)こちらの世界では、お湯が出るのも自動だし、風呂は一人で入るもの。そういう素直な驚きを描けたら面白いんじゃないかなと思いました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
スムーズで面白い会話というのを意識して描いています。ですので、魔王と執事ベルーニャの会話や高校生たちの会話を楽しんでもらえたら嬉しいです。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
「魔王すぎて弱くできないー」のシーンですね。
魔王故に魔力が強すぎて、通常の火の魔法も出せないし日常生活にも支障がきたしてしまう。
田舎暮らしをしていくうえで「魔王」という強さが仇となってしまうという今後の苦労を匂わせているシーンをうまく表現できたかなと思います。
――本作では主人公である魔王の、のほほんとしたキャラクターが反響を呼んでいますが、キャラクター構築やストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
この漫画のカテゴリーは「日常系とかキャラ漫画」というところに分類されると思います。
つまりは「キャラをいいと思ってもらうことが最重要」ということです。極端に言えばストーリー性はあまりなくても良い。
「そういうかわいいキャラ」を作る上で「魔王✕コミュ障」というギャップを利用したキャラならかわいく描けるのではないかと考えました。
普通に、コミュ障やのんびりしたキャラというだけでもそこそこ良いと思うのですが、それが「魔王」ということならもう一段階気に入ってもらえるかなと。
――今後の展望や目標をお教えください。
最近は「日常系」と呼ばれる漫画が10年前くらいと比べるとちょっと減ってきているという印象を受けます。ですがその流れに負けず、面白い「日常系漫画」を描いていきたいと思います。
まだ思い通り描けないところもあるので、日々反省と研究をしながら、皆様に楽しんでいただける作品を描いていきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
せっかく大きな反響を頂きましたので、それを励みにもっといい作品にできるように、そして長く続けられるように頑張っていきたいです。