人生そのものが舞台作品
2008年に上演のゲイカップルを描いたミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール」では、盟友・鹿賀丈史を迎え、夫婦役を演じた。実はこの作品には、1993年から出演していたが、1999年を最後に相手役を務められる役者がおらずしばらく上演されていなかった。あるとき「丈史だ!」と市村が思いつき、“復活”。2人の関係性を知る昔からのファンから熱烈に支持され、その後、何度も再演されている。役者生活50年の際に演じたのは三遊亭圓朝の落語をもとにした「死神」。これは西村晃の代表作でもあった。
「『役』を取ればただの『者』」と彼は言うが、市村正親に限ってはそうではないのかもしれない。人生そのものが舞台作品のように“伏線”を回収しながら、その無邪気な人柄と芝居への情熱で観客を魅了している。
文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」
※『月刊ザテレビジョン』2024年8月号
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