「週刊プレイボーイ」とWEBサイト「週プレNEWS」で連載中の「キン肉マン」新シリーズをアニメ化した「キン肉マン 完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)編」(毎週日曜深夜11:30-0:00ほか、TBS系ほか)。32年ぶり、1991年~1992年に放送されたテレビシリーズの続編で、新旧ファンが集まる注目作。7月14日に放送された第1話「新たな歴史の幕開け!!」では、12人の完璧(パーフェクト)超人が来襲し、正義超人軍団とのバトルへと突入した。(以降、ネタバレが含まれます)
ジェロニモが地獄のコンボでギッタンギッタンに
キン肉星王位争奪戦を勝ち抜いたキン肉マン(CV.宮野真守)がキン肉星第58代大王に就き、全ての争いが終結した地球。正義超人、悪魔超人、完璧超人の各代表が手を取り合い、歴史的な三属性超人不可侵条約が結ばれた。しかし、その調印式から数日後。正義超人主催のファン感謝デー会場に突然、屈強な12名の完璧(パーフェクト)超人たちが来襲し、会場は大混乱に陥る。現れた彼らは不可侵条約に異を唱え、条約の無効を主張する完璧超人のエリート一派「完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)」と名乗る一団だった。
完璧・無量大数軍の先頭に立つのは先の宇宙超人タッグ・トーナメントで敗れた完璧超人の1人ビッグ・ザ・武道と瓜二つの超人、ストロング・ザ・武道(CV.大塚明夫)。さらにその後ろに、両肩に巨大なタイヤを備えるマックス・ラジアル(CV.小林親弘)、背中から6枚の鋼鉄の板が伸びるクラッシュマン(CV.富岡佑介)、犬のダルメシアンのような姿のダルメシマン(CV.檜山修之)らが並び、一触即発の雰囲気を作り出す。
「キン肉マン」と言えばテリーマン(CV.小野大輔)やロビンマスク(CV.小西克幸)のような正統派の超人だけでなく、一風変わった姿形をした超人たちの登場も魅力の1つだ。完璧・無量大数軍はまさにそんな超人たちで、第1話ではジェロニモ(CV.小野賢章)を相手に早くも実力の一端が示される。
血気はやるテリーマンを抑えてストロング・ザ・武道に飛びかかるジェロニモ。しかし、返り討ちにあって声帯を潰されたうえ、ダルメシマンからターボメン(CV.野島健児)に。さらにクラッシュマンにつなぐ地獄のコンボを食らって敗れさる。怒るテリーマンを制して今度はカナディアンマン(CV.駒田航)、スペシャルマン(CV.田丸篤志)がリングに上がるが、マックス・ラジアルにあっけなく瞬殺されてしまう。
未知の敵である完璧・無量大数軍の圧倒的な強さを見せつける場面だったが、この3人はいつも不運な役回りにある。特にジェロニモはけっこうファンが多い超人なのだが、サンシャイン戦で金星を上げた以外はイマイチ活躍に恵まれていないのが残念なところだ。今後、復活参戦はあるのだろうか。
超人を人間に変える恐ろしい技“零の悲劇”
ジェロニモたちが軽くあしらわれてもなお、正義超人たちの勇敢な抵抗は続く。4番手で立ち向かったのはタイルマン(CV.稲岡晃大)。身長225センチ、体重5トンというパワーファイターはストロング・ザ・武道と組み合うが、ここで武道が“零の悲劇”を発動。タイルマンはなんと超人パワーを無力化され、お腹ぽっこりの人間に変えられてしまった。
さらに、インドの古豪・カレクック(CV.利根健太朗)、ペルーの至宝・ベンキマン(CV.加藤将之)も“零の悲劇”を受けて人間に変えられてしまう。「キン肉マン」をよく知るファンにしてみればこの3人が出てきた時点で予想通りの負け展開だったかもしれないが、人間に変えられてしまうというのはギッタンギッタンにやられてしまったジェロニモより数段かわいそうかもしれない。便器を抱えてノックダウンするおじさんの姿はなんというか、とても切ない絵面であった。
それにしてもベンキマンやカレクックはもちろん、新キャラクターの完璧・無量大数軍も、「キン肉マン」のデザインセンスは絶妙すぎる。一見すれば子どもが思いつくようなデザインの超人たちだが、そこから繰り出される技が楽しみだし、見た目のインパクトがある。何より子どもたちが大好きな路線で、だからこそ大人たちも分かりやすく夢中になるのだろう。
今回、実力を見せた完璧・無量大数軍の超人は5人だったが、他にもあやし棒を手にする赤ちゃんのような風貌のピークア・ブー(CV.石毛翔弥)、カジキのような頭をしたマーリンマン(CV.尾高慶安)という、気になりすぎる姿の者がまだ残っている。いずれも実力者と思われるが、キン肉マンやロビンマスクらトップ超人が不在の中、テリーマンは1人でどう立ち向かうのか。
放送後のSNSには「今でも十二分に通用するすごいデザインセンス」「これだからキン肉マンは面白い」「面白すぎて継続確定」「最後はテリーマンの怒りが爆発、作画の動きがめちゃカッコいい」「ピザ回転で飛ばされるジェロニモが見れて大満足」など、様々な感想が寄せられている。
■文/鈴木康道