江戸川乱歩原作『黒蜥蜴』が令和に蘇る…明智小五郎役は船越英一郎&緑川夫人役は黒木瞳「挑戦できることは法外な喜び」
船越英一郎 コメント
――黒蜥蜴への出演と、明智小五郎を演じた感想は?
小学生の頃、怪人二十面相シリーズや少年探偵団シリーズを貪るように読んでいました。中学のときにはラジオドラマを聞いて、高校に入ると江戸川乱歩全集で猟奇ミステリーや耽美派の江戸川乱歩に触れるようになりました。サスペンスを生業として生きてきたような人生ですが、原点が明智小五郎や江戸川乱歩なんです。
いつか明智小五郎を演じたいと思っていたので、今回挑戦できることは法外な喜びです。55年ぶりぐらいに夢が成就したようなものですから、本当にこの機会を与えてくださった皆さんに感謝しています。
しかも黒蜥蜴は、舞台も映画も拝見して特別な思い入れがありました。明智を演じさせていただく、その入口が黒蜥蜴というのも幸せだなと思っています。
――撮影中のエピソード、こだわったことや難しかったことは?
最初から犯人がわかっている倒叙型のミステリーなので、黒蜥蜴の仕掛けた丁々発止の心理サスペンスを黒木瞳さんとお互いに演じあうことができたというのが、僕にとって一番の喜びで収穫でもありました。
毎日わくわくしながら明智小五郎を演じ、黒木瞳さんという俳優さんを堪能させていただきながら黒蜥蜴と対決できました、本当に素晴らしかったです。
――楽しみにしている視聴者に一言。
今回は昭和40年から45年ぐらいの時代設定にしています。今の若い方には、昭和に憧憬を持ってる方も多く、昭和をクローズアップする番組や企画が多いのでマッチするのではないかと思います。僕らが知っている昭和、消えて欲しくない昭和の原風景、心象風景をこのドラマに投影するとちょうどうまく融合するんじゃないかと思っています。
今回の「黒蜥蜴」は割と原作に忠実ですが、オリジナリティも欲しいというのがありました。黒蜥蜴誕生の背景をきっちり描くことによって、人間ドラマの要素が濃くなったと思います。
さらに明智小五郎も、実は人の心の闇を暴くことが彼にとって正義の前に愉悦であると感じる部分を描いているので、新しい明智像がそこにあるような気がします。
明智と黒蜥蜴、対極にいるようで根底では引かれ合ってしまう、恋心に近いようなものまでが芽生えていく、そんな過程をじっくり描いているので、より皆さんにスリリングに見ていただけるんじゃないかなと思います。
一方で突っ込みどころも満載ですし、いわゆる2時間ドラマのイメージを裏切らないように崖も出てまいります。ぜひたくさんの方々にご覧いただけたらと思います。
黒木瞳 コメント
――黒蜥蜴への出演と、緑川夫人を演じた感想は?
原作も拝読していたので、最初にお話を伺ったときは無理でしょうと思いました(笑)。時代が昭和であることだったり、皆さんがよくご存知のものをリメイクするわけなので、今までの作品よりクオリティの高いものをお客さまに提供しなきゃいけない、そういった意味ですごくチャレンジャーだなと思いました。
ただ、明智小五郎に船越さんはぴったりだし、私こそちょっとハードルが高いかなと思いましたが、いろいろな先輩方が演じてこられたものなので、私にしかできない黒蜥蜴になるよう自分の中で試行錯誤しながら撮影に臨みました。
――撮影中のエピソード、こだわったことや難しかったことは?
言葉遣いがきれいで、現代ではあまり使わないような日本語が多かったので、それが違和感なく視聴者の方に伝わるように心がけました。あとは衣装や部屋も、作り込んだものではなく、本当に身近に黒蜥蜴という女性がいるかもしれないというリアリティが出るように気をつけました。
――楽しみにしている視聴者に一言。
明智小五郎VS黒蜥蜴の心理戦はぜひ楽しんでいただきたいですし、黒蜥蜴は変装の名人でもありますので、そのあたりも楽しんでいただけたらなと思います。また、明智と黒蜥蜴の間に微妙な歪んだ愛みたいなものが芽生えますので、そういったところも江戸川乱歩の世界として堪能していただけるのではないかなと思います。