成田凌と佐藤大樹の表現力に息をのむ
冴木たちの捜査を刑事の知識でかわしていた鈴木だが、いよいよ間近に迫るとその目を潜り抜けて、餓死させようとしていた花音と蒼佑の元へ。その命を一刻も早く奪うためだ。
留置場にいた灰川をも自殺に見せかけて殺していた鈴木。「父親殺しができるのは、本当の子どもである僕だけだ」と、どこまでも歪んでいた。ところが、灰川の日記を読んでいた花音は、灰川が徹底して実の子だと認めなかったのは、灰川が愛した鈴木の母が離婚できなかったDV夫から守るためだったのだと指摘した。離婚していない間に生まれた子どもは法的に夫の子となり、DVを受ける可能性、さらには妻を殺した殺人鬼の息子となってしまう。
「それは愛でしょ」と言う花音。思いがけない真実に涙する鈴木だったが、「愛」だったとは認めない。練炭に火を付けて2人がいる部屋のドアの隙間をテープで埋めようとする。
そのとき、鈴木たちの居場所を見つけた冴木がやって来た。鈴木の身柄を取り押さえ、花音たちのいる部屋に飛び込む冴木。蒼佑はすでに意識を失っていたが、冴木の救命で息を吹き返した。
安堵したのもつかの間、鈴木が口を開いた。冴木と蒼佑は、父親と同じように暴力に取り憑かれており、その負の連鎖を死ぬことで断ち切ったほうがいいのではないかと煽った。自分が被虐待児だった灰川邸の子どもたちを殺したのも「ある意味、社会貢献だったのかもしれませんね」とまで。そこで冴木は豹変し、何度も鈴木を殴り続けた。
抑えていたものが出て殴り続けるときの冴木の何もかもの色を失ったような表情。殴られながら笑みを浮かべる鈴木。壮絶さに言葉を失うラストとなった。成田と佐藤、2人の演技はそれほどに圧巻で、凄まじい思いが込められていた。
緊迫感続いた展開から壮絶なラストへ。タイトルがトレンド1位になる反響を呼び、「余韻がすごい」「圧倒された」という感想のほか、「まだ6話でしょ、どうなるの?」「展開が読めない」との声が。
第6話冒頭、2024年の現在、森から灰川邸事件のことを聞かれた五味は「話さないよ。話したくない…。あんな終わり方した事件のこと」とつぶやいていた。2024年に冴木が刑事を辞めている理由もそこにあると思われるが、2017年の事件の結末、そして2024年の新たな事件の謎に、まだまだ心をかき乱されそうだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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