稽古場で「いじってもらうのはありがたい(笑)」
――稽古場などお仕事の現場ではどのような立ち位置にいることが多いですか?
あまり社交的なタイプではないので、基本的には静かにしています。でも、知り合いがいる現場だと、いじられていることが多いですね。自分がちょっと変わり者だということは理解しているので、いじってもらうことで僕を知らない人に向けて「僕はこういう人間なんだよ」というのをわかりやすくアピールできるから、ありがたいなと思っています(笑)。
――共演者の方々からは、どのような印象を持たれていると感じますか?
舞台「魔法使いの約束」で共演している山田ジェームス武さんからは、「集中しているとすごく気難しそうな人に見える」と言われました。だから、そう見えないようにジェーさんが僕をいじって空気を和ませてくれるんです。ジェーさんは座組のお兄ちゃんのようなポジションで、常に周りを見渡している人。そのいじりがきっかけで話し掛けてくれる人もいたのですごく感謝しています。
――自身のことを変わり者だという自覚もあるとのことですが、具体的にどういう時にそう思うのでしょう。
思ったことをすぐやりたくなっちゃうんですよ。例えば、まったくクラブには行かないのに、格好いいと思ったという理由だけで、DJの人が使うターンテーブルを買いました。そうやって形から入るタイプなんですよね。
あとは趣味でゲームを作っていて、そのためにプログラミングの勉強をしています。自分だけが登場するゲームを作って、それをファンの方にプレイしてほしいなと。ああしたい、こうしたいといろいろなアイディアが浮かんでくるんです。
――今回の撮影では、趣味で集めているという自前のカメラも小道具として使っていただきました。
なにか作品作りをしたいなと思って買ったんですけど、今では単純にカメラが好きになってカメラばっかり買っています。共通の話題になりやすいので、カメラや写真が好きな俳優さんと仲よくなることもありますね。
役者人生の中での大きな決断の理由
――8月末に現在の事務所を退所されて、9月からは新しい環境での活動となりますね。
10年近くお世話になった事務所なので、正直とても悩みました。でも、僕は世間知らずな部分があるので、そういう意味でも、環境を変えて新しい場所で挑戦してみたいと思ったんです。大きな決断でしたが、何事も実際にやってみないと分からないだろうと思っているので、思い切って飛び込むことにしました。
――現実主義な面もありつつ、行動力が先をいくこともあって、両極端な部分があるのかなと思いました。
そこが僕の魅力かもしれない、と思いたいです(笑)。よく「ミステリアスだね」と言われますけど、自分としては「見えているものがすべてなのに」と思っています。ただ、確かに感情の起伏は激しい方なので、そのときどきですごくテンションが高かったり、大人しかったりするから、そう見えるのかもしれないです。
――最後に将来のビジョンについても教えてください。
これまでにやったことのない、役柄や作品に関わる機会が増えたらいいなと思っています。あとは、なによりもファンの皆さんが幸せだったらいいなと。僕の出演作を見て、「来てよかったな。幸せだな」と思ってもらえることが一番役者冥利に尽きることなので、そんな作品をこれからも届けていきたいです。
◆取材・文=榎本麻紀恵