堂本剛(KinKi Kids)が27年ぶりに映画単独主演を務める「まる」の完成報告イベントが9月18日に都内で行われ、堂本、綾野剛、小林聡美、吉岡里帆、森崎ウィン、荻上直子監督が登壇。堂本と綾野がそれぞれの“呼び名”についてや、撮影中の印象的なエピソードを語った。
“金田一”以来の映画主演が実現
荻上監督と企画プロデューサーによる約2年前からの熱烈オファーを受け、堂本にとって「金田一少年の事件簿 上海魚人伝説」(1997年)以来の映画単独主演が実現した今作。堂本が演じるのは、美大卒だがアートで生計を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている主人公・沢田。独立する気配もなければ、そんな気力さえも失って、言われたことを淡々とこなすことに慣れてしまっている。ある日、通勤途中に事故に遭い、腕のけがが原因で職を失う。部屋に帰ると床にはアリが1匹。そのアリに導かれるように描いた◯(まる)を発端に脚光を浴び、日常が◯に浸食され始める―――という奇想天外な物語だ。
沢田というキャラクターは、脚本も手掛けた荻上監督による堂本への当て書きだったという。あらためて演じた感想を、堂本は「(これまでの役者活動で)“受け身の役”というのはあまり演じてこなかったので、今回の沢田は一段階難しい役だったのではないかなと。非常に難しかったです」と吐露しつつ、「共演者の皆さまのお力添え、大きな愛に包まれながらリラックスして難しい沢田を演じることができました。自分一人だけの力だけでなくたくさんの方々に力をもらいながら演じ切ることができたなと思うので、感謝の気持ちでいっぱいです」と共演者やスタッフに支えてもらったおかげで、自分にとって難しい役を体現することができたことを伝えた。
そんな堂本とは映画初共演となる綾野は、沢田の隣人である売れない漫画家・横山を演じる。現場での堂本の印象について、綾野は「とても温かったです。個人的につよしさんと一緒にお仕事ができることも、とてもご褒美のような時間でしたし、何より他者に対する愛情と言いますか、体温をちゃんと届けてくれる方。現場ではお互いぬくぬくしてしまって“コタツに入りながらずっとしゃべっている”みたいな(笑)。“実家感”というんですかね？」と堂本に話すと、堂本も「そうですね。実家感があって、スケジュールもタイトな日もありましたけど、のんびり有意義にしゃべってましたね」と同調した。
ちなみに堂本も綾野も読み方は違うものの名前の漢字は同じ「剛」。MCから綾野が堂本を「つよしさん」と呼んでいることをツッコまれると、2人は「そうなんです」「字が一緒なんです」とほほ笑み合う。
「綾ちゃん、つよしさんで通ってます」
その上で、綾野のことは何と呼んでいたかを聞かれると堂本は「僕はたぶん彼がずっと呼ばれてないであろう、これからも呼ばれないかもしれない…と、いろいろ考えた結果、“綾ちゃん”って呼んでいます」と打ち明け、綾野も「綾ちゃん、つよしさんで通ってます。割とご年配のスタッフさんに綾ちゃんって呼ばれることがあるくらいで(笑)。だからすごくうれしかったですし、温かくなりますよね」と、うれしそうな表情を浮かべていた。
その流れで、撮影がないにもかかわらずお互いのクランクアップの日に現場に駆け付けたという話題に。綾野は「僕のクランクアップのときにつよしさんが来てくださって、それがとてつもなくうれしかったんですよ。気付いたらつよしさんのクランクアップに僕もいました」と回顧。
当時のことを、堂本は「(いるとは)まったく気付いてなくて、お忙しいだろうし、クランクアップのときって主演は一人で迎えることも多かったので、その日は何とも言えないきれいな夕陽の美しい景色を見て、『撮影は以上になります』というスタッフさんの声の後に、『つよしさーん！』って遠くから声が聞こえてきて。綾ちゃんが走って来たんですよ。何とも言えない感動的なシーンでしたね。何かもうこのシーンを撮りたいなぐらいに思った、きれいな景色でした」とその瞬間はカメラが回っていなかったことを惜しみながら、しみじみと振り返っていた。
映画「まる」は10月18日(金)ロードショー。
◆取材・文・撮影=月島勝利(STABLENT LLC)
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