話題作「哀れなるものたち」での繊細な演技
そんな奔放さと対極にあるともいえる純真な表情を見せたのが、「哀れなるものたち」だ。
共演にシガニー・ウィーバーを迎えた主演映画「マイ・ニューヨーク・ダイアリー」(2020年)、第79回ゴールデングローブ賞のテレビ部門リミテッドシリーズ/テレビムービーで主演女優賞にノミネートされた配信ドラマ「メイドの手帖」(2021年)など、着実に演技力をつけて挑んだ役。天才外科医ゴッドウィン(ウィレム・デフォー)に自殺を図ったところを助けられるも自分の胎児の脳を移植された主人公ベラ(エマ・ストーン)の代わりの実験体とされたフェリシティという難役だ。
耽美でいてエロティシズムとグロテスクさに彩られた「哀れなるものたち」の中で、ゴッドウィンが慈しむも出て行ってしまったベラの代替。ベラと同じように蘇生されて、“生まれたて”という新たな命を与えられるも、その成長を見る研究対象でしかない悲しい存在でもあった。純粋無垢な彼女自身は悲しいなんて思ってはいないのだろうが、外の世界に飛び出して成長する主人公ベラの対比となるキャラクターがどのようなものなのかを繊細に演じた。
最新公開作では4役に挑戦
「哀れなるものたち」を作り上げた鬼才ヨルゴス・ランティモス監督の最新作「憐れみの3章」は、タイトル通り3章からなる物語で、キャスト陣はそれぞれの章で異なる役を演じる。「哀れなるものたち」以上に重要な役に抜てきされたクアリーは、第3章では双子の役となっており、実質4役を演じ分けているという。また、作中ではその美しいスタイルも披露している。
ブラピ、ウィーバー、ストーンやデフォー、さらに2024年6月に公開された主演作「ドライブアウェイ・ドールズ」ではコーエン兄弟の弟イーサン・コーエン監督とタッグを組み、第77回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した「The Substance(原題)」(2025年5月日本公開予定)ではデミ・ムーアと共演と、ハリウッドの大物と渡り合いながら確かな存在感を放って見るものの目を引き付けるクアリー。今後もスター街道を歩むこと間違いなしの彼女の演技をぜひ堪能してほしい。
なお、「哀れなるものたち」はディズニープラスの「スター」で配信中。
◆文=ザテレビジョンシネマ部
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/poor-things/
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発売日: 2024/05/08
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