本田響矢と夏生大湖がサッカー部のライバルに コーチを演じる佐野岳「お互いを見やる目でのやり取りが印象的」<モンスター>
佐野岳「解釈次第で、ガラッと内容や登場人物の思惑が変化する」
──台本を読んだ際の率直な感想をお願いします。またドラマ「モンスター」の魅力をあげるとすると?
本田:最初に台本を読んで、結局誰がこの出来事の発端となって起きたことなのかがわからなくて、何度も読み返しました。でもそれは、今の令和という時代からくる感じ方だと思いました。体罰があった、なかった、これは体罰なのか体罰じゃないのか。色々なことがあやふやで、人や、年齢によって感じ方も違う。“いま”観るべき作品だと思いました。
そしてそこが、この「モンスター」という作品の魅力だと思いますし、常識にとらわれない、本当の真実というより、本当の正義に、最後の最後まで向き合う神波先生の生き様に、最後の最後まで目が離せない素敵な作品だと思います。
夏生:すぐに思い浮かんだことは、高校時代の自分でした。全国を目指して毎日練習をし、仲間と一喜一憂していた青春時代。僕の演じる神宮寺と本田響也くん演じる武田のような友情とも違うライバル関係を思い出して、うれしい気持ちになりました。
4話は体罰問題が題材となっていますが、昔に起こっていたことが、時代が変わった今でも続いていること、さまざまな視点で考えさせられることがあるように思います。ぜひじっくり感じて、それぞれの考えを出して欲しいなと思います。
佐野:解釈次第で、ガラッと内容や登場人物の思惑が変化する本だと感じました。今作は、表向きのきれいな感情から、誰もが持っている内側に隠れた不安や、揺れ動く裏の感情にフォーカスが不思議と移り変わっていきます。観る人に考えさせる要素が、単なるエンタメ作品ではなく、唯一無二の魅力になっていると思います。
──ご自身が演じられた役柄について
本田:この作品に入るときに、監督と、空気感を大切にしていきたいと話しました。僕は剣道を10年間やっていたので、武田のサッカーを本気でやってきた時間と通じるものがあると思いました。あの時にしか味わえない、部活内の独特の空気感があって、神宮寺との関係性は特にそうだと思います。あの感覚を思い出したりもしました。
夏生:僕が演じる神宮寺は誰よりも武田の熱さを知っている人だと思います。ずっとライバルとして競ってきたからこそ感じることがあったと思います。そういった彼への想いと、思うようにいかない葛藤や、嫉妬心、高校時代の記憶も借りつつ、演じました。ただ高校時代の僕とは違うので“神宮寺として生きる”ということを忘れないように意識しました。
佐野:甘利を演じるにあたって、監督との話し合いの中で、台本には書かれてはいない裏設定をとても大事にしながら演じていました。登場人物たちの思惑が重要な作品になるので、表の感情と裏の感情をどうブレンドしていくかというところが大変でした。でも、そのブレンド作業が楽しかったです。
──印象的なシーンは?
本田:裁判所でのシーンです。趣里さん演じる神波先生に目を見られてから、一瞬で「モンスター」の世界に溶け込みました。とても印象に残っています。
夏生:武田が部室で1人悔しさを露わにするシーンです。高校時代の僕と重なる思いがあって、撮影の時はあのシーンから目が離せなかったのを覚えています。
佐野:神宮寺と武田のお互いを見やる目でのやり取りが印象的です。是非、一度観た後にもう一度観なおしてみてください。実はここ、こういう感情だったのか、など、隠された感情が明らかになってから観るととても面白いと思います。