鶴橋康夫氏の“履歴書と推薦文”となる特別インタビュー番組
日本映画専門チャンネルオリジナルの撮り下ろし特別インタビュー番組「演出家・鶴橋康夫 -映像の魔術師と呼ばれた男-」は、まさに鶴橋氏の“履歴書と推薦文”のような興味深い内容になっている。鶴橋ファンはもちろん、鶴橋康夫という人物を知らない方が観てもきっと楽しめるはず。なぜなら、彼はとても奇天烈で、とても美しいからだ。単純に鶴橋康夫という人物に興味を持ち、彼の作品に魅了されることだろう。
同特別番組は、鶴橋作品に出演した俳優たちの証言から演出家・鶴橋康夫の姿を記録していく。まず、この鶴橋組に携わった俳優たちがとても豪華である。阿部寛、大竹しのぶ、奥田瑛二、佐藤浩市、妻夫木聡、寺島しのぶ、豊川悦司、役所広司…まさに日本を代表する俳優陣。彼らが皆、鶴橋氏の演出家としての凄さ、監督としての奇抜さ、人としての魅力をたっぷりと語る。
鶴橋氏との日々を振り返りながら、その思い出に浸り、時に笑い、涙を流し、大切に一つひとつの言葉を紡いでいく鶴橋組の面々。鶴橋氏がなぜ業界で愛され、人々を虜にする映像を作り続けられたのか…その理由が一つのパズル画のように完成されていく。さまざまな人たちの言葉がカケラとなり、まるで一ピースずつはめられていくかのように繋がっていくのだ。そして、鶴橋康夫という人物の輪郭となる。
またインタビュー映像の間に差し込まれている、鶴橋氏が手掛けた映像作品のシーン集も実に良い。数作品のわずか数秒のシーンがいくつか流れるのだが、たったそれだけでも彼が「映像の魔術師」と呼ばれることに全力で頷ける。たった1秒の映像でも強烈に私たちの脳内に色濃く刻み込んでくるからだ。それだけインパクトが強くて、斬新で、美しい映像なのである。キラキラ輝いているがどこか揺らいで謎めいているアンビバレントな映像。
鶴橋康夫という人物に実際に会って、頭の中を覗いてみたい。そんなことを思わせる映像と人柄。なぜその発想が生まれ、どうしてこの画を撮れるのか、そしてこんなにも俳優・スタッフ陣から愛される豪快でフラットで柔軟な人柄はどのように形成されていったのか…どんどん彼が気になり、彼に惹きつけられていく。まさに完璧な“履歴書と推薦文”。そんな特別番組を通して、ぜひあなたも「映像の魔術師」に触れてほしい。
構成・文=戸塚安友奈
「追悼特集・鶴橋康夫-映像の魔術師-」
11月20日(水)20:00ほか
日本映画専門チャンネル【BS255】にて放送
【放送予定日時】
「演出家・鶴橋康夫 -映像の魔術師と呼ばれた男-」
11月20日(水)、11月28日(木)、12月9日(月)
「風の棲む家」(1989年)
放送日:11月20日(水)、11月27日(水)、12月9日(月)
演出:鶴橋康夫
脚本:池端俊策
出演:竹下景子、三浦友和、加藤治子、MIE、片桐はいり、下元勉、黒崎輝、今福将雄
「刑事たちの夏」(1999年)
11月20日(水)、11月28日(木)、12月16日(月)
演出:鶴橋康夫
脚本:吉田剛
原作:久間十義『刑事たちの夏』より
出演:役所広司、大竹しのぶ、真田広之、山本未来、黒田福美、古尾谷雅人、阿藤海、塩見三省、本田博太郎、新山千春、金田龍之介、芦川よしみ、田山涼成
「雀色時」(1992年)
12月2日(月)
演出:鶴橋康夫
脚本:野沢尚
出演:浅丘ルリ子、役所広司、赤井英和、洞口依子、津嘉山正種、津川雅彦、ベンガル、森本レオ
「愛の世界 暴かれたプライバシー」(1990年)
12月3日(火)
演出:鶴橋康夫
脚本:野沢尚
出演:大竹しのぶ、 役所広司、小林稔侍、森山周一郎、岸辺一徳、ベンガル、岡部征純、二木てるみ、門谷美佐、不破万作、森本レオ
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