「アナタは、所詮ナースです」
トラブルになってしまった事をとがめる薬師丸に、歩は「最善の処置をした、間違った事はしていない」と主張。だが薬師丸は「医師と同じ事ができると思われては困る」と、NPの資格を持つ歩に失礼な一言を。「命がかかってるのに、医師もナースも関係無い!」と激高する歩に、薬師丸は「アナタは所詮ナースです」と見下すような発言をした上に「タスクシェアを推奨した事で勘違いさせてしまったようだ」と嫌味まで言って歩のプライドを傷つけた。そして訴訟となれば、マスコミが嗅ぎつけて病院に来るかもしれない、と、歩に謹慎を言い渡した。
この処分に納得がいかない歩を「院長は歩を守ろうとしているのだ」と、薬師丸に心酔している塔子(寺島しのぶ)はなだめながらも、薬師丸の忠告を聞かずに事態を悪化させた事をなじりもした。二言目には「院長、院長」と信者のように言う塔子には、ナースたちもうんざり。静も塔子に「お言葉ですが、患者とどう接するかは院長ではなく我々が決めるべき。病院の問題、院長の責任…クソくらえ!です」と意見した。
薬師丸は七叶の病室を訪れ、今回の事を詫びた。そして、美里の怒りを鎮めるために、他院の有名アスリートを何人も診ている医師の資料を渡すのだった。だが、本心で「申し訳ない」と思っているわけではない。「誠意を見せておいてマイナスは無い」と静に語ったように、リスク回避の一環なのだ。
そんな薬師丸の思惑に気付いている静は「歩をクビにする事は勧めない」と、先回りしてけん制。「命を預かる仕事に責任が生ずるのは当然」と答えた薬師丸に、静は「では院長も、外科医として常に命の責任を取ってこられたという事ですね」と尋ね、薬師丸の表情がこわばった。薬師丸は、不測の事態で患者を死なせた過去があるようだ…。尋ねた事に他意は無いと言った静だったが、何かを知っている様子だった。
一難去って、また一難…
歩が七叶の応急処置を行った際に手伝ってくれた通りすがりの看護師・めぐみ(若村麻由美)が「歩があの場で処置しなければ七叶は助からなかった」と美里に説明して、美里は訴える事をやめ、歩に感謝とこれまでの態度を謝罪した。
トラブルを回避して、薬師丸もひと安心。彼は歩に先日の発言を詫びたが、歩は水に流せないようで無言を貫いた。そんな歩の態度を気にも留めず「自分が目指す改革の為には、まだまだ2人の力が必要」と、歩と静に契約延長を持ちかける薬師丸。返事をする前に静は「院長の“改革”とは、病院のためか、患者のためか?」と問いかけた。
「当然、病院の改革は全て患者に還元される」と薬師丸は答えたが、静は含み笑いをしながら「そうでしょうか?」と言い、2人の間に緊迫した空気が流れた。その時、院長室に塔子が緊張した面持ちで入ってきた。一緒にやって来たのは看護師のめぐみ。めぐみは約1年前までこの病院に勤務していたのだが、彼女を見た途端、薬師丸は脳裏に忘れたい過去がよみがえり表情がこわばった。
めぐみは緊張する薬師丸に院長就任の祝いの言葉を述べ、「あのひどい状況から本当に病院を立て直された」と彼の手腕をたたえた。めぐみは薬師丸の“過去”に関係があるようだ。彼女は、塔子にも「ここに残れて良かった。警察に連れていかれたって聞いたときはどうしようかと…」と語りかけ、塔子の表情をさらに堅くさせた。塔子が警察に?過去に一体何があったのだろうか…。
めぐみは、かなり進行したすい臓がんを患っており、薬師丸に執刀を頼みにやって来たのだった。まばたきもせず、挑むような目で薬師丸を見据えるめぐみ…。彼女の思惑は何なのだろう。占い好きの看護師寮の寮母・たま子(池谷のぶえ)が、めぐみの素性が分からない時に似顔絵を見て「私たちに不吉なものを運んできそうなイヤなオーラを感じる」と言っていたが、その直感は当たったようだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部