感動の名場面を振り返る
「ドクターX」といえば、「私、失敗しないので」を体現する痛快な手術シーンが忘れられない。印象的なのは第4シリーズ、盟友である博美(内田)の末期の進行がんが発覚した際のエピソードだ。
博美にふりかかった進行がんは、普通に考えれば未知子の腕をもってしても取り除くのは不可能と思われた。時間との戦いなのに、どうしても対抗手段が見出せない未知子。そんなタイミングで、VIPの手術用に用意された“IREナイフ”の存在を知る。電気によってがん細胞を死滅させるIREナイフを手に入れるために助手として手術に入り、盗み出す。
知識ある医者として、非常に難しい手術になることがわかっている博美。それでも子どもを残して世を去るわけにはいかないと、恐怖を飲んで未知子に執刀を依頼する。涙をこぼしながら「お願い、やっぱりあの言葉…言って…」とすがる博美に、未知子が「大丈夫。私、失敗しないので」と告げる一幕。同シリーズ屈指の名シーンだ。
執刀医として参加していた御意軍団が、事情を鑑みて見ないふりを決め込むどころか、手術に参加するというのもまた良い。
また第5シーズンでは後腹膜肉腫を患い、余命3カ月と診断された未知子。視聴者としてもハラハラした展開に目が離せなかった人も多いだろう。非常に重役である未知子の執刀を任されたのは、これまで彼女の助手を務めてきた新米医師の西山直之(永山絢斗)だった。
身内の手術となれば、通常の手術よりはるかに心理的ハードルが高い。そして直前に未知子がおこなった医療界の重鎮の術後管理も必要とされるなか、ここでも御意軍団と西山の大胆な発想が一歩ずつ手術を成功に導く。
さらに同話では「大門未知子が失敗しない理由」も明らかに。宿敵・蛭間も驚くノートの内容には、驚いた視聴者も多かったはず。これまでの道のりと、未知子がいかに多くの仲間から慕われているのかもわかる神回だ。
ついに「完結編」となる映画版だが、誕生から12年の歴史は脳内で完結するには多すぎる。各種配信サイトやDVD-BOX、Blu-ray BOXなどで過去シーズンの名作エピソードを復習してから劇場に足を運べば、またひとしおの感動があるはずだ。せっかくの大門未知子が飾る“有終の美”…ここだけは失敗せずに見届けたい。
ポニーキャニオン