桐谷健太主演のABEMAオリジナルドラマ「インフォーマ -闇を生きる獣たち-」(ABEMAで全話配信中)。1月9日(木)からは、ついにNetflixでの配信も開始となる。政治、経済、芸能、裏社会、警察などあらゆる情報に精通し、その情報をエサに商売をする情報屋、通称“インフォーマ”が事件の裏に潜む“巨悪”を暴いていく物語の第2弾。前作同様、桐谷演じる木原慶次郎が、佐野玲於演じる「週刊タイムズ」のポンコツ記者・三島寛治とタッグを組んで事件を解決していく。
今回は桐谷と、前作でも登場し、新シーズンとなる今作ではタイで刑務所に入っていた殺し屋・森田(キム)を演じた一ノ瀬ワタルが対談。旧知の仲の二人が作品や出会いについて語った。
「桐谷さんの現場は本当に毎日が楽しかった」
――前作で死んだと思われたキムが森田としてまさかの復活ですが、どのような経緯があったのですか?
桐谷 僕が藤井さん(企画・プロデュースの藤井道人)にキムを出してほしいと話しました。最初は双子の役にしようかと話していたんですが、前作でも死んだところは見えていないので生きていてもおかしくないなと。なんかキムって不死身な感じするじゃないですか。
一ノ瀬 ありがたいですね。そのおかげでタイでの撮影にも参加できて。
――タイでの撮影はいかがでしたか?
一ノ瀬 タイの刑務所はやっぱりすごかったです。半年前まで使っていた刑務所を使用して撮影したんですが、囚人役の人たちが「半年前までここに入ってたよな」みたいな思い出話を語っていたりして…。めっちゃフレンドリーな方たちなんですけど、「あんたたち怖いんやなぁ」と思いながら接していました(笑)。でも、そんな人たちが近寄りたがらない怖い雰囲気の部屋もあったりしたのは驚きでしたね。
桐谷 それって幽霊的な?
一ノ瀬 そう言ってました。怖いっすな。
――タイでの撮影でも、“座長・桐谷健太”が光っていたと聞きましたが。
一ノ瀬 さすがでした。「インフォーマ」は桐谷さんが主演だからできていたと思うんです。シーズン1も結構大変な撮影だったから、すでに結束力みたいなモノがみんなの中でできている中、でも今シーズンから入ってくる方々にもウェルカムな雰囲気がちゃんと作られていて。普通、途中参加ってアウェイに感じることがあるんですけど、桐谷さんは全員をひっくるめて気を使ってくださるので、スタッフ含めみんなが居心地の良い現場だったと思います。めちゃくちゃキツい現場だったのに笑いが絶えなかったですから。
桐谷 ありがとう。俺はやっぱり関わっている人たちが面白いと感じてやっている現場がいいと思っています。だからといって、そのために何かをやろうとしてるわけでもないですが。自然と楽しい雰囲気になっている感じですかね。大変な時や過酷な時もありますけど、みんなの気持ちがひとつで前向きでした。それぞれが自分の持ち場で楽しく面白いものを作ろうとしていると自然と画に表れていくんですよね。
一ノ瀬 タイでは現地のスタッフの方を合せて100人くらいで打ち上げができたのが印象的でしたね。桐谷さんが、「約1カ月、一緒にやってきたんだから何かやりたい」と言ってくださって。でもぜんぜん時間がなかったから、タイのメンバーと集まる最後のシーン終わりに、軽く乾杯だけをやったんです。あれはめちゃくちゃよかったすね。言葉が通じないけど、一緒にみんなで作ったという結束を感じることができて。桐谷さんに着いてきてよかったって思える瞬間でした。
桐谷 あの乾杯で初めて笑顔を見た人もいたしな(笑)。きっとそれまであった緊張の糸がやっとほどけて、素の姿が出ていたんだと思います。みんなめちゃくちゃテンション高くて盛り上がりました。
一ノ瀬 桐谷さんの現場は本当に毎日が楽しかったです。木原のセリフで「祭りが始まりよったぞ」というのがあるんですけど、まさに裏もそんな感じ。撮影は大変だけどみんな頑張ろう、楽しみたいっていう祭りが毎日開かれていた感じでしたね。
エキストラをしていた一ノ瀬との衝撃の出会い
――お二人は本作に出る前からの知り合いなんですよね。
桐谷 そうですね。もう結構前からです。
一ノ瀬 エキストラのアルバイトをしていたときに参加した作品で出会ったんです。そこから節目節目に桐谷さんが自分のことを気にかけてくれて…。
桐谷 たしか「激流~私を憶えていますか?~」(NHK総合、2013年)かな。俺が刑事役で、最後のカットが犯人を追いかけるシーンだったんですけど、その犯人役がワタルで。現場に行ってすぐに、この子が犯人やろなって分かりました(笑)。当時は坊主でタンクトップ姿。いかにもですよ。
で、ワタルがプロデューサーさんと話しているのが聞こえてきたんですが、その内容が「そうっすな。僕、金玉1個ないっすな」で。
僕、コーヒー持ちながら「詳しく聞かせてもらえるかな?」って話に入っていき、その日に今度焼肉行こうと約束をした記憶があります。
一ノ瀬 当時、全くお金がなかったっすから、東京で焼肉食えるなんてめちゃくちゃうれしかったんです。
桐谷 思いっ切り飛んで「ヤッター」って言ってたもんな。で、それからめちゃくちゃ会ってるんじゃないですかね。
――10年以上続いているのはすごいですね。
一ノ瀬 自分の中ではすごく大事なポイントで桐谷さんに関わってもらっている感じがあって。俳優として認められるきっかけとなった映画「宮本から君へ」(2019年)という作品があるんですが、あれ、オーディションだったんですよ。
そのオーディションの1週間前くらいに桐谷さん家に招かれて「これ面白いから読んでみて」と渡されたのが「宮本から君へ」の原作のマンガ本だったんです。なのでオーディションの話を聞いたときは、運命だと感じましたね。2カ月で体重30kg増やさないといけないキツい撮影だったんですが、これはもう完全に桐谷さんに背中を押されたんだと思いながらやらせていただきました。
桐谷 本当に何も知らなくて。でもこういうことがちょくちょくあるんですよ。なんか不思議な縁というか。僕が電話すると、出るなり「マジッすか」と息を飲んで「やっぱりこのタイミングでかかってくるんっすな」みたいなことを言われることも多く。なにかあるんでしょうね。
――前作「インフォーマ」のときはどうだったんですか?
一ノ瀬 藤井さんが監督をされた「ヴィレッジ」(2023年)という映画を一緒にやっていて。そのときに「次、『インフォーマ』という作品をやる」とだけ聞いたのが最初です。なので桐谷さんが主演するとは聞いていない中、決まっていった感じですね。
桐谷 ちなみに前作の第4話で木原がキムを拷問するシーンがあるんですが、待ち時間に急に「うわぁぁぁ」って叫びだしたんですよ。「何?」って聞いたら、柱につながれた状態で「後で言うっすな」と言われて。木原がキムの母親を人質に取っていることを伝えてキムが「オンマー(韓国語で母の意)」って叫ぶシーンを撮り終えて、「で、さっきの叫びって?」と聞いたら「桐谷さんと二人芝居ができるなんて、感慨深くて。さっきの『オンマー』のところ、心の中で『桐谷さん~』って叫んでました」って…(笑)。拷問しているの俺やし、情緒どうなってるん?って感じで笑ってしまいました(笑)。
一ノ瀬 自分の心の中では「今、オレら二人芝居してるな~」って叫びながら演じていたんですよ。こんな貴重な経験ができるんだって。めちゃくちゃ意識しながら撮影しました。
▼ABEMAで全話配信