「陸王」で“悪者チーム”の小籔千豊「悪役の佐山にも、彼なりの正義はある」
老舗足袋メーカーがランニングシューズの開発を目指し悪戦苦闘するドラマ「陸王」(TBS系)。宮沢紘一(役所広司)が営む「こはぜ屋」にとってライバルといえる、大手スポーツ用品メーカー・アトランティス社の営業担当・佐山淳司を演じている小籔千豊に今作に懸ける思いを聞いた。
「池井戸潤さん原作の日曜劇場といえば本当に、今までメガヒットじゃないですか。絶対当たる原作で、絶対当たるチームですよね。すごい現場にお邪魔させてもらってるって感じですね。役所さんがいらっしゃるこはぜ屋チームは結構和気あいあいとして楽しげだと伺ったんですが、僕の方は『悪役チーム』の僕とピエール(瀧)さんのほか、(市川)市川右團次さん、竹内(涼真)さんくらいしかいないので、誰かのセリフが多いと無駄口きいている暇はなくて。次のセリフのシーンを頭で反すうしていないと、覚えが悪いんで間に合わないんです。舞台やったら一度覚えたセリフを何度でも言いますけど、ドラマは1回だけですしね。しゃべえると忘れてしまいそうで必至です(笑)」
佐山は上司・小原(瀧)にゴマをすり、結果主義で冷徹な考えを実行に移す人物。
「悪モンですけど、佐山の中にも正義があるというか。会社に従って利益を優先すると、こはぜ屋さんにとって悪になるだけで。彼は正しいと思って戦っているんです。小原さんにゴマをするのだって、ゴマをすってでも家族を食わしたい、出世して会社を変えたい、などの思いがあるから。本当に悪いことなんかは分からないですね」
この座組で悪役を務め、役者としてステップアップした先達も多い。だが本人はどこ吹く風だ。
「演技のうまい人ならいざ知らず、下手やのに『このドラマをステップに、悪役の仕事がもっと来るように爪痕残したんねん!」ってヤツがいたら、チームワークが乱れます。『チャンスや』などと欲をかかずに、監督さんらの期待に応えられるよう、ト書き通り粛々とやっていくだけですよ!」