【テレビの開拓者たち / 李 闘士男】ジャニーズWEST主演「炎の転校生REBORN」は“アホ”が詰まった学園ドラマ!?
ジャニーズWESTは7人とも勘がいいし、人を楽しませようという精神がある
──原作の未来の物語ということで、完全なオリジナルストーリーですが、7人が1話ずつ主役を務めるというアイデアはどのようにして生まれたものなのでしょうか。
「その辺は、作家さんとの打ち合わせの中で、7人を主役にしてこのドラマをやるにはどうしたらいいんだろうって考えて。7人がなぜ集められたのかという設定は一番考えたところですね。それは最終回まで見ていただくと分かるんですけれども」
──原作では主人公だった転校生が学園の校長先生になっているという設定ですが、役者さんに演じさせるのではなく、人形にしたところが面白いですね。あの主人公の未来の姿なんだということがビジュアル的に分かりやすくなっていて。
「原作の主人公が年を取った姿を年配の役者さんが演じても伝わりにくいですからね。じゃ、人形でいいんじゃないの?なんて話になって。モノを考えるときって、理屈で詰めていく場合と、『これ面白いんじゃない?』なんてパッと思い付きで行く場合とありますけど、この作品に関しては完全に後者でしたね」
──主人公たちが派遣される学校の校舎に飾られているオブジェも毎回凝っていますね。
「あれは原作にも出てくるので、そのオマージュですね。この作品のアイコンみたいな感じ」
──異次元空間への入り口というムードが出ていると思います。
「そうそう、そうなんですよ。コメディーですから、最初の何分かで『この作品は笑って見ていいんだよ』って教えてあげないといけないかなと思って。そうしないと、間違えてマジメに見る人も出てきちゃいますからね。リラックスして見ていいんだよって、早めに教えてあげるつもりで作りました」
──また、1話ごとにさまざまな作風のドラマになっているところも面白い。
「僕も今までいろいろやってきたので、ドラマっぽく撮ったり、バラエティーっぽく撮ったり、という撮り分けはしました。ヨーロッパ企画さんに出ていただいた回は、あえて彼らのユルい感じをライブ的にそのまま見せたり。ドラマ全体の見どころで言うと、誰にでも分かるベタなギャグも、そうではないシュールなギャグも入ってるので、作り手の仕掛けは深いんだぞっていうことがどこまで伝わるかなという不安も若干あるんですけど(笑)」
──ジャニーズWESTの皆さんもかなりノッて演じてらっしゃいますね。
「7人とも勘がいいし、人を楽しませようという精神がある。神山(智洋)くんなんて、けっこうダサい役なんですけど、喜々として演じてるし、他のメンバーも『おまえ、オイシイな』とか言ってますからね。そういうところが素晴らしいですよ、彼らは」
──李さんにも、これまでの作品を含めて、人を楽しませようというサービス精神を感じます。
「僕らの仕事って、クリエーターというより、サービス業だと思ってますから。喜んでもらってナンボ。ディレクターとか監督って偉そうにしてますけど、所詮1人じゃ何もできないんですよ。役者さんや作家さんやカメラマンさんたちに仕事していただかないと。いわば、料理人と一緒ですね。素材や器具があって初めて料理が作れる、という。だから結局、大事なのはコミュニケーションなんですよね。気の合う人と仕事するということが、いかに相乗効果でいいものを作れるかっていうことで」