
2023年1月よりWeb小説サイト・カクヨムにて連載され、発行部数が70万部を突破した背筋による同名小説を映画化した映画「近畿地方のある場所について」が8月8日(金)に全国公開される。本作は、オカルトライターと若手編集者の二人が、行方不明になってしまったオカルト雑誌の雑誌編集長を捜すうちに、彼が失踪直前まで調べていた未解決事件や怪奇現象の数々を辿るなかで、次第に“近畿地方のある場所”へと誘われていく……というストーリーだ。今回WEBザテレビジョンでは、オカルトライターである瀬野千紘を演じた菅野美穂と、雑誌編集者の小沢悠生を演じた赤楚衛二にインタビューを実施。役作りにあたり準備したことや、撮影時に印象的だったエピソードを伺った。
赤楚、出演に喜び「ホラー作品は学生時代よく観ていた」
――本作に出演が決まった時の気持ちを聞かせてください。

菅野美穂(以下、菅野):ホラー作品は、日常と異なる演技ができることが楽しくて、以前から魅力を感じていました。ただ今回は久しぶりの挑戦ということで、正直「どうなるんだろう?」という不安がありました。ですが、事前に原作を読ませていただいた際、伏字表現があることで逆に想像をかき立てられたり、怖いもの見たさを刺激されたりして、とても興味を惹かれました。改めて時間を経て、こうしたジャンルと向き合えることがうれしいです。
赤楚衛二(以下、赤楚):僕は初めてこのような作品に携わらせていただいたのですが、ホラー作品は学生時代よく観ていたので、「やった!」といううれしい気持ちでいっぱいでしたね。
――おふたりは初めて白石晃士監督とお仕事してみていかがでしたか?
赤楚:演出も独特ですし、お芝居は「こんな感じでやってみて」と手本を見せてくださったのですが、すごくお上手でしたね。作品に関しても“日常の中にある気持ち悪さ”がちりばめられている印象が強く、見ていて「うわっ……」となる場面も多かった気がします。
菅野:白石監督自身はすごく穏やかで現場もほのぼのとしていたので、「この空気感で恐怖の世界が作られるのか……!」と驚かされましたね。あと「怖がらせよう」という意識は作品においてノイズになってしまうのではないかと思ったので、演者としては監督に言われたことを信じるようにしていました。どのタイミングで怖がらせるか、といったトリックは、監督と背筋さんがすでに緻密に考えてくださっていると思ったので、自分のアイデアを現場に持ち込むというよりは、一人の観客のような気持ちで「どうなっていくのだろう」と身を委ねるように臨みました。

“気持ち悪さ”を際立たせる世界観やストーリー
――本作で菅野さんはオカルトライター、赤楚さんは雑誌編集者を演じられています。役作りにあたって事前に準備したことはありましたか?
菅野:私が演じた瀬野千紘には実はモデルがいて、モデルになったオカルトライターさんの資料を事前に拝見させていただいていました。こんなにもエネルギッシュな方が“怖いもの”に興味を持つということに、どこか不思議さを感じていたのですが、資料を読んでとても腑に落ちました。むしろ、相反するものだからこそ、強く結びつくということがあるのかもしれない――と思えましたね。
赤楚:僕は雑誌編集者という仕事や編集室の雰囲気について、事前に受け取った資料をもとに勉強をさせていただきました。

――自身が思う作品の見どころを教えてください。
菅野:やはり“本当かもしれないと思ってしまうリアリティー”ですよね。本作で初めて映画館でホラー系の映画をご覧になる方もいると思うのですが、夜眠れなくなってしまうんじゃないかと感じるくらいの力強さがあります。「こんなことが実際に起こるはずがない」と思いながらもついついのめり込んでしまう作品になっているので、ぜひ肝試し感覚で観ていただければと思っています。
赤楚:原作同様にストーリーが体験型になっているので、徐々に情報を得ていく過程や千紘さんと小沢の掛け合いを楽しみながら、皆さんも作品の世界に存在しているという気持ちで観ていただけると、より深く世界観に浸れると思います。また、リアルとフィクション、ノンフィクションの曖昧な境界が“気持ち悪さ”を際立たせてくれていると思うので、ぜひまっさらな状態でご覧いただきたいですね。

――おふたりは過去にドラマで共演されたこともあると思うのですが、改めてお互いの印象を聞かせてください。
菅野:以前の共演は一日だけの撮影でしたが、赤楚さんが穏やかで女性スタッフの方々がとても癒されていたのを覚えています(笑)。加えて、休みなく作品が続いていて忙しいだろうなとも思っていましたね。ただ、出演作が続いている期間はできることがどんどん増えていくと思うので、そういう意味でも大切な時期に再会できた気がしますし、うまく息抜きしながら頑張ってほしいなと思っています。
赤楚:初めてお会いした時は少しの会話で終わってしまったのですが、今回はしっかり共演させていただいて「現場のスタッフさんを巻き込むタイプの方なんだな」と感じました。関わる方々の名前を覚えて声をかけていらっしゃるので、本当に現場が温かくなりますし、そういうあり方も素敵だなと思いました。今回はかなり難しい役どころだったと思うのですが、作品や役を作り上げていく過程も拝見していてすごく楽しかったです。
映画「近畿地方のある場所について」
8月8日 (金) 全国公開原作:背筋「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)
出演:菅野美穂、赤楚衛二
監督:白石晃士
脚本:大石哲也 白石晃士
脚本協力:背筋
音楽:ゲイリー芦屋 重盛康平
主題歌:椎名林檎「白日のもと」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
配給:ワーナー・ブラザース映画
オフィシャル:公式サイト KINKI-MOVIE.JP/公式X @kinki₋movie





























