吉岡里帆と水上恒司がW主演を務める映画「九龍ジェネリックロマンス」が、8月29日(金)より全国で公開される。本作は、眉月じゅんの同名漫画を原作とするミステリー・ラブロマンス。今回WEBザテレビジョンでは、鯨井令子を演じる吉岡里帆と工藤発を演じる水上恒司にインタビューを実施。共演前後の印象、役作りやロケの裏側、忘れられない夏の思い出などをたっぷり伺った。
お互いの印象に「こんなにたくましい人なんだ！(吉岡)」
──お互いの共演前の印象はどのようなものでしたか？ それは共演して変化しましたか？
吉岡 水上くんの過去の出演作品を拝見していて、美少年的で、きれいな男の子という印象を持っていました。それと同時に、とても芯の通った方なのだろうなというイメージもあって。ところが実際にお会いしてみると、「こんなにたくましく、がっしりとした人なんだ！」と驚きました。内面は繊細だと思いますが、スタンスがたくましいといいますか。「僕について来てください」という強さを感じました。お会いする前は、「水上くんは年下だし、自分が引っ張っていかなくては」と思っていたのですが、むしろ私のほうが水上くんについていきたいと思わされましたし、実際に引っ張ってもらう場面もたくさんありました。
水上 吉岡さんは、決して楽な道を選ばない方だなと感じました。初めてお会いしたのは本読みのときで、その際に役に対するニュアンスや解釈を聞いて、「この方は楽な道を選ばないんだろうな」と思ったんです。実際に現場に入ってみると、やはりその通りで。当然、そうなると悩みや苦しみも出てきますが、それに対しても決して逃げないんですよね。そういう強さを、初対面から感じていましたし、現場をご一緒する中でますます強く感じました。あとはすごく頭が良い方だなと。
吉岡 本当ですか？
水上 頭良くないですか？
吉岡 そう聞かれると「良くないです」とは答えたくないけど(笑)。
水上 うん、頭良いです。
──どのあたりでそう感じたのでしょうか？
水上 選ぶ言葉や他者に対する配慮などから感じます。
吉岡 ありがとう。
役作りの裏側、かつて香港に存在した街“九龍城砦”の風景を再現するため台湾で行われたロケでの思い出も
──吉岡さんは鯨井令子、水上さんは工藤発を演じました。ご自身の演じた役を、どのような人物だと捉え、どのように演じましたか？
吉岡 私は今回、鯨井令子の……“レコぽん”と“鯨井B”という2役を演じさせていただきました。レコぽんと鯨井Bは、見た目は一緒ですが、アニメでは声優さんが2人で演じられているくらい全然違う2人。その演じ分けは難易度が高かったです。これは監督の演出でもありますが、レコぽんのほうは記憶がないぶん、赤ちゃんのようにまっさらに全てを受け止める。一方、鯨井Bは達観していて。私の実年齢も同じなのでわかるのですが、酸いも甘いも知っていて、だからこその弱さもある。そう２人を捉えて、演じ分けられたらいいなと思っていました。
──そのために何か準備していたものや、ご自身の中で持っていったものは何かありますか？
吉岡 とにかく眉月じゅん先生の原作を熟読して、「この表情、めちゃくちゃ鯨井Bっぽい！」とか「この表情はレコぽんの無垢な感じにいいな」と思うシーンを写真に撮って撮影中も見返していました。キャラクターの表情や絵はすごく参考にさせていただきましたね。
水上 工藤発はダメ男の象徴みたいなイメージです。カッコつけるし、でも肝心なところで泣くし。でも「男ってそういうもんなんだよな」と思ったりもするんですよ。それを隠せたり、自分の中で消化できたりするのがいい男なんでしょうけど。でも、みんながみんないい男ではない。そのダメさ加減をいかに具現化するか、というのが今回の役作りでした。その中でも特に今回は“痛み”と向き合いました。工藤は、意識的なのか無意識なのかはわからないですが、前半はその痛みを隠しているんですよね。それがミステリアスにも見えるし、軽やかさにもつながるんじゃないかなと思っていたので、演じる前から楽しみにしていました。後半見えてくる痛みに関しては……僕自身が家族や友達など大切な人を失った経験がないので、そこを作っていくことにかなりエネルギーを要しました。実際にちゃんとできたかはわからないですが、やれることはやりました。
──本作の舞台となる “九龍城砦”の風景を再現するため、撮影は狭く雑多な路地裏の商店など、誰もがなぜか懐かしさを感じるような古い街並みを残す台湾で行われたということですが、現地での撮影での印象的なエピソードがあれば教えてください。
吉岡 原作にも出てきますが、2人で水餃子を食べるシーン。あのシーンのロケーションが本当に良い雰囲気で。路地裏の路面店だったのですが、ほかではあの空気感は出ないと思う。周りにいろんなお店が出ていて雑多で、野次を飛ばし合っていて。そんな生活感のある中に、2人だけの世界観が生まれる。お気に入りのロケーションです。
──現地では、観光したり、撮影以外でおいしいものを食べたりはしましたか？
水上 カエルのスープがおいしかった！
吉岡 結構食べてたよね。あと、ハマグリのスープも飲んでいませんでしたか？
水上 ハマグリのスープ！ おいしかった！
吉岡 おいしかったよね。皆さんが想像するような台湾料理ではないんですけど、シンプルなハマグリのスープは割とどのお店にもあって。水上くんが「おいしいから飲んでください」と教えてくれて頼んだので、そういう思い出も込みで印象に残っています。
映画「九⿓ジェネリックロマンス」
■公式サイト：https://kowloongr.jp/◼STORY
懐かしいって感情は、きっと恋と同じ。
懐かしさ溢れる街・九⿓城砦の不動産屋で働く鯨井令⼦(吉岡⾥帆)は先輩社員の⼯藤発(⽔上恒司)に恋をしていた。⼯藤は九⿓の街を知り尽くしており、令⼦をお気に⼊りの場所に連れ出してくれるが、距離は縮まらないまま。
それでも令⼦は、九⿓で靴屋を営む楊明(梅澤美波)、あらゆる店でバイトをする⼩⿊(花瀬琴⾳)らといった⼤切な友達もでき、九⿓で流れる⽇常に満⾜していた。
しかしある⽇、⼯藤と⽴ち寄った⾦⿂茶館の店員タオ・グエン(栁俊太郎)に⼯藤の恋⼈と間違われる。さらに、令⼦が偶然みつけた1枚の写真には、⼯藤と⼀緒に⾃分と同じ姿をした恋⼈が写っていた。思い出せない過去の記憶、もう1⼈の⾃分の正体、そして九⿓の街に隠された巨⼤な謎。過去・現在が交錯する中、恋が、秘密を解き明かす――。
■作品情報
[キャスト] 吉岡 ⾥帆 ⽔上 恒司 ⻯ 星涼 栁 俊太郎 梅澤 美波(乃⽊坂46) 曾 少宗 花瀬 琴⾳
[原作] 眉⽉ じゅん「九⿓ジェネリックロマンス」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
[監督] 池⽥ 千尋
[脚本] 和⽥ 清⼈ 池⽥ 千尋
[⾳楽] ⼩⼭ 絵⾥奈
[制作プロダクション] ROBOT
[制作協⼒] さざなみ
[企画・配給] バンダイナムコフィルムワークス
