――生瀬さんは、ご自分の人生を振り返って一番の事件って何ですか?
あ、もう振り返りますか!(笑)
一番の事件はきっと…。僕、大学卒業して、就職活動していたんですけども、内定が決まっていたんですよ。それを両親の前で「ちょっと考えさせてくれ」っていう。演劇をもう少しアルバイトしながらでもやりたいって言った、それがすべてのターニングポイントですね。
学生演劇、小劇場でずっとやっていて、それはもうお金にもなんないし、一生の仕事にはならない時代でしたから。
そこで学生時代のモラトリアムということで演劇をやっていたんですけど、要するに今まで決めていた線路を自分から変えたまま、本職ではないけども、お芝居をやりたいというふうに決めたことがたぶん、一番の転機だと思います。
頭で考えたんじゃなくて、体が「そっちにしといた方がいいよ」っていうふうに思ったんです。23、4(歳)かな。何のビジョンもない。でも就職はある程度のビジョンがあって。
どこそこっていう会社があって、そこでどんな仕事をするか分かんないけど、そこにとにかく入るっていうビジョンがあったんですけど。全くビジョンのない方へ自分を持って行ったのが、自分の中でのターニングポイントですね。
――いろんな役を演じられていると思うんですが、いつも撮影現場には役作りをご自身でガッツリされてから行かれるんですか?
僕はあんまり(役作りを)しないですね。共演者の方と、顔を見て、声を聞いて、セリフを合わせてみて、そこで何か感じるものを大事にするので、自分で用意は絶対してこないです。
――現場で、監督や共演者の方と話しながら作っていくということですか?
もちろんそれまでに話し合うこととか、決めておくことはやるんですけど、まず舞台なんていうのはひと月くらい稽古がありますんで、そこでああだこうだって考えながらやるんです。
でも、映像って結構その場でやっちゃう場合が多いので、本当に声聞いて、どういう口調で何かを訴えられるのか、それに対してどう応えるのか、ということを大事にしています。
――日頃から役者さんとしてやっていくために、何かされていることはありますか。
面白い人がいたら、その人をずっと観察しています。街中でもどこでも。今こうやってでも(笑)。喋り方とか、その人の特徴で、その人の印象を、どういうふうにすればそういうふうな人に見えるのかって。喋り方の癖とか。
非常に印象のいい人であれば、なぜその人の印象がいいのか。失礼だったら、何が失礼なのかということをインプットします。人と話せば話すだけ、引き出しが増える。もう自分の癖ですね。
――気を付けてやってるんじゃなくて、そうなってしまうのですね。
もう職業病です。だから電車とか乗れないですよ。電車とか乗ったらもう、情報が多過ぎて。何でこの人はこういう格好をしているのか。何でそんなに下を向いているのかっていうことが気になってしょうがないんで。なるべく電車には乗らないです。顔を指すとかじゃなくて、情報が多過ぎるので。
12月3日(日)朝10:00-11:50
テレビ朝日系で放送
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