【テレビの開拓者たち / 安永英樹】「金の事件簿」プロデューサーが語る“報道映像の可能性”
税金滞納者と税務職員の攻防をリアルな取材映像で見せる「実録!金の事件簿」(フジ系)の第3弾が12月8日(金)に放送される。この番組を手がけるのはフジテレビ報道局報道センターの安永英樹プロデューサー。2001年にTBSに入社し、報道局・社会部や制作局に勤務。その後、2010年にフジテレビに転職した安永P。両局の夕方のニュース番組で特集コーナーを担当してきたことが、この「金の事件簿」を企画したきっかけだったという。ほかにも「加藤浩次vs政治家~政治のオモシロイところ集めました~」(2017年フジ系)、実録ドラマ「衝撃スクープSP 30年目の真実~東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯・宮崎勤の肉声~」(2017年フジ系)など、報道局制作によるゴールデンタイムの特番を送り出してきた安永Pに、“報道マン”ならではの番組作りについて聞いた。
「金の事件簿」は夕方のニュースの特集コーナーの延長線上にある番組です
──今年3月と7月に安永さんがプロデューサーを務めた番組の第3弾「実録!金の事件簿3~こんな奴らは許さない~」が放送されます。まずはこの番組が生まれた経緯からお聞かせください。
「2001年にTBSに入社して、社会部の捜査一課担当の記者を務めた後に、2002年から『JNNニュースの森』(1990~2005年TBS系)、2005年からは『イブニング・ファイブ』(2005~2009年TBS系)を担当していたんです。その後2010年にフジテレビに移って、『FNNスーパーニュース』(1998~2015年フジ系)、2015年から『みんなのニュース』(フジ系)と、僕はずっと夕方のニュース番組で特集コーナーを担当してきたんですが、言うなれば、『金の事件簿』はその延長線上にある番組ですね。ニュースの素材は面白いものが多いのに、夕方の番組ではどうしても、ながら見されて埋もれてしまいかねない。そんな素材を使った番組をゴールデンでやったら見応えのあるものになるんじゃないか、と思ったのが企画の発端です」
──税金滞納者と税務職員の攻防を、再現ドラマではなくリアルな映像で見せていくところが見どころのひとつですね。
「滞納者の人たちは逃げたり、嘘をついたり、生の人間の姿が出ますからね。その一方で、税務職員の方々はこんなに頑張ってるんだというところを見せたいなと。それを提示することによって、納税は大切な国民の義務だと啓蒙することが一番のテーマです。また、警察による交通違反の反則金未納の取り締まりも取材しています。たかが15000円や20000円を放置するだけでも、反則金を払わないと手錠をかけられ逮捕されてしまいますからね」
──第3弾の今回はどんな内容になっていますか。
「今まで通り、税金滞納問題に密着する一方で、ある地方議員の政務活動費がどう使われているのかを取材しています。1年間に払われる660万円の政務活動費が『こんなことに使われてるの?』『こんな使い方でいいんだろうか?』と問題提起しています。前回も、香川県が1000万円もかけてマッターホルンの海外視察に行っているという実態に迫ったんですが、そもそも香川県にあんな高い山はないじゃないですか。いったい何の役に立つの?という問題提起をしたわけです。同じように今回も、税務職員の方たちが必死で集めている税金を、使う側の人たちはどう使っているのか、そこに迫っています」
──そんな堅めの内容にスタジオトークを交えて、バラエティー仕立てで制作されていますね。
「坂上忍さんという稀有なMCの方に、怒りの象徴としてしっかりと怒っていただきつつ、笑いも入れながら、『痛快TV スカッとジャパン』(フジ系)じゃないですけど、視聴者の方々に“スカッと”していただけたらと思って。一方で、元・東京国税局職員で税理士の佐藤弘幸さんや、弁護士の本村健太郎さんに分かりやすく説明していただき、ゲストのタレントの皆さんには視聴者目線で『これって、脱税になるんですか?』といったことを質問していただく。報道番組とは違った柔らかい見せ方をすることで、とっつきやすい番組になればと思っています」