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「記憶に残るゲーム音楽とは」サガシリーズの伊藤賢治×グラブルの成田勤、伝説のライブ『FACE to FACE』復活の想いとゲーム音楽文化について語る

2025/10/20 19:01

「仲良し50%」「VS 50%」音楽でしのぎを削る“対バン”への熱い想い

グランブルーファンタジーなどで知られる作曲家・成田勤
グランブルーファンタジーなどで知られる作曲家・成田勤※ザテレビジョン撮影


――今回のイベントは「伊藤賢治 VS Stella Magna」という“対バン形式”が明確に打ち出されていますね。

伊藤:そうなんです。僕の中でのこのイベントの理想は、「仲良し100%」じゃないんですよ。「仲良し50%、VS 50%」。お互いに音楽でしのぎを削って、より良いものを作ろうという場にしたくて。「Stella Magnaがこんな風に来るなら、自分も負けてられないぞ」っていう、そういう化学反応を期待しています。

成田:伊藤さんがそういう場を作ってくださるなら、僕らも全力でお応えしたいと思っています。Stella Magnaもこの6年間、コロナ禍で活動が止まった時期もありましたが、スピンオフ作品などを通じてバンドとして成長してきた部分があると思います。そういった進化をお見せできれば嬉しいですね。

伊藤:特に期待してるのが、バイオリンの(伊藤)友馬くん。2019年の頃はまだパフォーマンスに少し硬さがあって、クラシック出身ということもあり、ロックな表現にうずうずしているように見えたんです。でも最近のステージを見るとすごくかっこよくなってる。だから今回、もし直立不動で演奏するようなことがあったら…許さんぞ!と(笑)。6年分の思いをぶつけて、暴れてほしいですね。

――イベント内容のことも少しお聞きできれば。毎回セットリストを組むのは大変だと思いますが、定番曲と新しい曲のバランスはどう考えていますか?

伊藤:これが本当に難しいんですよね。そのコンサートが初めてで、これっきりかもしれないというお客さんもいる。そういう方を思うと、やっぱり人気の定番曲は外せない。でも、ずっと応援してくれている方には新しいものを見せたい。毎回悩みます。違うフレーズを入れてアレンジしてみたら、「いや、そうじゃない」って言われたりもしますし(笑)。

成田:そうなんですよね(笑)。特にゲーム音楽は、プレイヤーの記憶や体験と密接に結びついていますから。定番曲を求める気持ちも、マンネリを避けたいという気持ちも、両方ある。そこのバランス感覚は常に意識していますね。

ゲーム音楽の文化と変化~激動のシーンを巨匠はどう見るか~


――お二人は長年この業界の第一線で活躍されていますが、ゲームの遊び方もプラットフォームもめまぐるしく変化している業界だと思います。そんな中“ゲーム音楽”を取り巻く環境にも変化は感じますか?

伊藤:ものすごく感じますね。例えば、若いプロデューサーと仕事をすると、僕らが聞いてきた音楽と彼らが聞いてきた音楽の間にカルチャーギャップがあるんです。「坂本龍一は知っていてもYMOは知らない」みたいな。だから、音楽のイメージを言語化して伝えるのが非常に難しくなっている。

成田: 技術的な変化も大きいですよね。昔はMIDIデータで、ゲーム機側の音源を鳴らす手法が主でしたが、今は作った音源そのものをそのまま再生することができる。加えて現在では、シーンに合わせて曲をシームレスにつないだり、メロディーを抜いたアレンジに切り替えたりと、やれることが格段に増えました。その分、考えることも増えましたが、表現の幅は大きく広がりました。

――音楽の“聴かれ方”自体も大きく変わりました。

伊藤:まさに。TikTokなどの影響もあるかと思いますが、、イントロを短くしてすぐにサビ、という構成が求められる。1曲の中でストーリーをじっくり聞かせる、アルバムを通してコンセプトを伝える、という聞き方が少なくなっているのは感じます。

成田:そうなんですよね。僕もアルバムは通しで聞きたいタイプなので、その文化の変化にはなかなかついていけてないかもしれない(笑)。でも、ゲーム音楽である以上、ゲームとどう解け合うかが一番大事だと思っています。キャッチーで、メロディーが心に残る。自分が子どもの頃に憧れたそういう音楽を、今の時代にどうフィットさせていくかを常に考えていますね。

――伊藤さんが手掛けた「ロマンシング・サガ」シリーズなどは大人世代の多くの心に残っていると思います。ゲーム音楽の“ヒットの法則”のようなものはあるのでしょうか。

成田:身も蓋もない話ですが、まず「ゲーム自体がヒットするか」が大前提にあると思います。楽曲の完成度ももちろんですが、ゲームを通してプレイヤーのみなさんに知ってもらえるかが非常に大きいと思いますので。本当に鶏と卵の話ですが。

――一方で、『サガ』や『FF』のように、音楽の力が作品を大ヒットに導いた側面もあるように感じます。

成田:それは間違いなくあると思います。最終的には、ゲームとして伝えたいことと、音楽として伝えたいことの方向性が噛み合った時、それがユーザーさんに届いて初めて、【記憶に残るもの】になるんでしょうね。

伊藤:結局、どこに向けるかですよね。全世代なのか、若者なのか、男性なのか、女性なのか。僕らがやっていたファミコン時代は全世代向けでしたが、今はターゲットが細分化されている。RPGをじっくり遊ぶ時間がない人が増え、手軽なパーティーゲームが流行る。その多様性の中で、それぞれのターゲットに最適な音楽を届けていく必要があると感じています。

下に続きます
■『FACE to FACE “Returns” -Kenji Ito & Stella Magna-』
チケット情報、最新情報はこちらから
https://stellamagna.jp/

日程:2025年11月8日(土)
時間:開場 13:00 / 開演 14:00
会場:埼玉・ところざわサクラタウン ジャパンパビリオン ホールA
https://tokorozawa-sakuratown.com
出演:伊藤賢治 Stella Magna


画像一覧 6

  • サガシリーズで知られる伊藤賢治×グランブルーファンタジーの成田勤(Stella Magna)が、伝説のライブ『FACE to FACE』復活について明かした
  • 11/8(土)開催 『FACE to FACE “Returns” -Kenji Ito & Stella Magna-』
  • 伊藤賢治(写真左)×成田勤(写真右)
  • 伊藤賢治(写真左)×成田勤(写真右)
  • サガシリーズなどで知られる作曲家・伊藤賢治
  • グランブルーファンタジーなどで知られる作曲家・成田勤
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