
芳根京子と高橋海人(King & Prince)が、11月26日に都内で開催された映画「君の顔では泣けない」公開後御礼舞台あいさつに登場。メガホンをとった坂下雄一郎監督と共に公開後の反響や、お互いの演技についてそれぞれ称賛し合った。
坂下監督、2人の演技に脱帽「“持って”らっしゃる」
同作は、2021年に発売された君嶋彼方氏による同名小説を原作とした、15歳から30歳の15年に及ぶ“男女入れ替わり”を描いた物語。高校1年生の夏、プールに一緒に落ちたことがきっかけで、心と体が入れ替わってしまった坂平陸と水村まなみ。「これは何かの間違い」と元に戻ることを信じ、その方法を模索して奔走する。
しかし元には戻らないまま、進学、初恋、就職、結婚、出産、親との別れ…人生の転機を経験していく2人。そして、30歳の夏を迎え、まなみは「元に戻る方法が分かったかも」と陸に告げる――。
11月14日に公開され、約2週間がたった本作。外見はまなみで中身が陸を演じる芳根は、公開後の反響について「知り合いから『入れ替わった経験がないのに、スッと入ってくる物語で驚いた。何でこんなに腑に落ちる感覚になれるんだろう。もしかしたら自分は入れ替わってるのかも』という感想が来て。そういうふうに受け取ってもらえてうれしかったので、皆さんもそんなふうに想像しながら見ていただけたらうれしいです」と、ネタバレを気にし過ぎて一度“迷子”になりつつも笑顔で明かした。
一方、外見は陸で中身がまなみを演じる高橋は「King & Princeで活動していて、チームのスタッフさんが『苦し過ぎて涙が出なくて、最後に滝のように出てきた』っていうふうに言ってました」とした上で、「皆さんもそれに沿って見ていただいて、最後まで我慢してもらって、最後にバーって涙を流していただければ」と呼び掛けると、すかさず芳根から「いいじゃない、泣くタイミングは」とツッコまれていた。
本作は内容的にも芳根と高橋の演技に大きな注目が集まっているが、2人の演技について坂下監督は「芳根さんはこの映画で2カ所、片方はちょっと落ち込んだシーン、もう片方はちょっと心境が変化したカットで、すごくタイミングよく風が吹くんです。前髪がふわっとなびくんですけど、こちらが用意したわけではなく自然と起きたもので、そのときのキャラクターの心情を助けている。それは計算して用意できるものではないので、そういうことを引き寄せるというか、“持って”らっしゃるんだなと思いました」と、天も味方につけた芳根の演技を称賛。芳根は「やばい…どのシーンか分かんない…どこだろう!? うれしい!皆さん見つけてください(笑)」とアピールした。
そして高橋について、坂下監督は「後半のとあるシーンで、芳根さんから何かを言われた後に沈黙してしまうシーンがあるんです。映画を見ていると普通なんですけど、実は編集で秒数を数えると4、50秒ぐらい黙っているんです。そのぐらい大胆に沈黙されていて、現場で見ていても僕は内心驚愕(きょうがく)しました。一見そんなに長くは感じないと思いますし、編集して短くしようと思えばできるんですけど、編集せずにそのまま使っています」と打ち明け、高橋の“間”に衝撃を受けたことを伝えた。
それを受け、高橋は「普通は途中でカットがかかって、『どうした?』って心配されるようなシーンだったんですけど、監督が信頼してくださって。自分の中で入り込むことだけに集中してできて、僕も大好きなシーンなので、そう言っていただけてめちゃくちゃうれしいですね」と笑顔を見せ、芳根も「すごく決断のシーンなので、あの“間”がリアルなんだよな、と思わせてくれるシーン。私もすごく好きです」と、共感した。

芳根、高橋の演技を絶賛「『もしもし』に負けた」
その流れで芳根と高橋がお互いの「すごい」と思う部分について語る場面も。
芳根は「電話するシーンがあるんですけど、まなみの『もしもし』の一言で泣きそうになって…。そこまでのいろんな葛藤がある中での電話ということもあって。電話だから声しか聞こえてないし、別々でお芝居も撮っているんですけど、『もしもし』の一言でグワって感情が上がっちゃって。『もう一回やらせてもらっていいですか?』と言っちゃった記憶があって…」と述懐。
さらに「あの『もしもし』はすごく安心できるし、ちょっと怖い気持ちにもなる。この作品は『うれしい』という感情があったら、『苦しい』という感情も一緒に来る。シンプルな感情の瞬間はたぶん一瞬たりともない作品という中で、あの『もしもし』は強かった。一番初めに聞いたとき、その『もしもし』に負けて、『ちょっと冷静にもう一回やらせてほしい』となりました」と、思わずリテークをお願いしたことを振り返った。
それに対し、高橋は「表現の素晴らしさみたいなものは隣でお芝居させていただいてたくさん感じてきたんですけど」と前置きしつつ、「お芝居をやっていていつも難関だなと思うのが、物語の流れだったり、出来事を説明する“説明ぜりふ”なんです」と切り出す。
続けて「皆さんに分かりやすく見ていただくために説明するシーンがこの作品にもあったんですけど、それをいかに“説明っぽく”言っていないか(が重要)。お芝居をやっていると、説明ぜりふが来ると『うわ~』ってなるんです。どう言おうかなって。やり過ぎると皆さんの気持ちが離れちゃうし。いかに自分事として、説明ぜりふに聞こえないようにするか。(芳根は)もううまいとかヘタというより、職人だなと思いました。うわぁ~すごいなこの人は!って。すごくすてきなお芝居をされていました」と感嘆しながら話すと、芳根も深々と頭を下げて感謝を伝えていた。
映画「君の顔では泣けない」は全国公開中。
◆取材・文=ブルータス・シーダ(STABLENT)
※高橋海人の「高」はハシゴダカが正式表記
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