
アニメ「鎧伝サムライトルーパー」のメモリアル上映会が11月25日、都内で行われ、主題歌を担当した森口博子と、鎧デザインを担当した岡本英郎が登壇した。開口一番、「今、こうしてイントロが流れただけで血が騒ぐというか…」と挨拶した森口は、「主題歌『サムライハート』を担当させていただいて早37年!物語にも出てきた新宿の街で、こうやって皆さんと再会させていただいて、もうほんとに感慨深いです」と笑顔を見せた。
リストラ宣告で落ち込んでいた森口博子を救った「サムライハート」
アニソン(「機動戦士Ζガンダム」後期OP曲「水の星へ愛をこめて」)でデビューするも、その後ヒットに恵まれず、「(所属事務所から)リストラ宣告を受け、仕事がなく、九州に帰されそうになって落ち込んでいた“氷河期”」に、再びアニソンの「サムライハート」と出会って救われたという森口。放送当時は実感できていなかったが、「イベントで歌わせていただいたときに、女性ファンの方々が『キャー!!』って盛り上がってくれて…え、出てきたの私だよ?」と思いつつ人気を実感したという。
「当時は黒い帽子に三つ編み、赤いボディコンの衣装で、“イタズラな体”が爆発した感じでガンガンに踊ってたんですけど、そのイベントにいらっしゃった方…」と尋ねると、数人が拍手で返事。森口は「ほんと!?」と驚きながら「お互い時代を生き抜いて来ましたね…!」と感激。さらに「呼吸をするように、毎日している」「マスク、ブラジャーとともに三種の神器」だという“エゴサーチ”で、今も「森口博子といえば『ガンダム』の印象が強いけど、俺は『サムライハート』派だ」という書き込みを見かけると明かした。

鎧デザイン・岡本英郎が暴露!? 独自“アンダーギア”の仕組み&幻のメカ構想
鎧擬亜(ヨロイギア)で武装する前に装着するバトルスーツ、アンダーギアも特徴的だった本作。岡本は「今日はアンダーギアの話をしたい」と切り出し、「鎧のように硬いと思われてるけど、柔道着のような“縫い”なんですよ。肩やレガース(脛当て)には石綿が入っていて、サンドバッグのようにぶつかって衝撃を吸収する仕組み。(効率的にスピードを出したり止めたりできる複雑な)タイヤの構造にヒントを得ました」とデザインベースを明かした。

「“ひじりせいや”(「聖闘士星矢」)くんと比べていろいろ言われるんですけど、アンダーギアを見たらそうじゃないと分かる!」「かかとの部分は技をかけるときのフックにもなるし、バイク(※未登場)と合体させるとガチャンとハマる予定だった。メカは他にバギーなどもデザインしていた」「ボディは横にスリットが入っているから、曲げると蹴りの防御になる…とか、細かい設定もちゃんと考えて作ったんですけど、『あんま分かんねえや』って言われて」「だから、自分でイラストを描くときは縫いを匂わせるようにしました」と、笑いながら次々と裏話を。
それを受け、森口は「作品づくりって、伝わらないこだわりがきっとたくさんあるんですよね。でも100こだわってその内30が伝わったっていうだけでもすごいこと。もし最初から30しかこだわってなかったら、3しか伝わらないかもしれないし…そういう細かいこだわりの積み重ねなんですね」「それを知った皆さんはまた楽しめますね」とまとめていた。
森口博子が少女時代に見ていたら「ヤバい」主人公・真田遼のシーンとは!?
好きなキャラクターについて問われた森口は「えー、その質問する~?」とおどけ、MCの柳原哲也(アメリカザリガニ)に「女子会ちゃうねんで」と突っ込まれつつ、「烈火のリョウ(真田遼/声・草尾毅)の武装シーンがすごく好き。でも当麻(声・竹村拓)の頭脳プレーもいいですよね」と告白。
さらに「最初は秀(声・西村朋紘)が主役の予定だったんですよね。その感じも分かる」と振り、岡本に「少年漫画の主人公って秀ですよね。でも秀が主人公だったら鎧も赤になっていたんじゃないかな?」と言われると「秀が、赤???…ヤ〜ダ〜↓」と急にテンションダウン。「親しみやすい秀には、元気なオレンジが似合う」と頑固さを見せて笑わせていた。
MCの柳原が「そういう意味では当時(真田遼は)新しい主人公だったかもしれないですね、きれいで…」と語ると、森口は「ちょうど(主題歌が「サムライハート」に切り替わった)20話冒頭の、悪夢から覚めた遼がベッドの中で裸のシーンとか、ドキっとしましたよねぇ!(会場歓声)…でしょ!?キャーそんな格好でベランダ出てキャー!!って。大人になっても『おぉ』ってなるから、少女だった時代に見たらヤバいですよ」と興奮。
一方で、「ピュアな少年たちが日常から戦いに行く、小さい力だけど5人集まれば…みたいな魂の武装。昭和ならではのド根性が表れたような変身シーンの魂の入れ方、目にゾクゾク来るんですよ」とも熱弁。「武装シーンには反物がワーッと出てきて花吹雪がバーッて、『嵐に舞う花びら』という歌詞もあるので、今日はそれを意識して、着物をリメイクした衣装で来ました」と立ち上がって衣装を披露していた。

デビュー40周年・森口博子のコメディセンスと圧倒的歌唱力に会場感激!
正統続編である「鎧真伝サムライトルーパー」の新作PV「SPECIAL FIRST LOOK VOL.3」が先行上映されると、岡本は「技術がすごい、それにもう圧倒されちゃいます。昔はトレースするから(デザインで入れられる)線が限られていた。今は自由でいいですね」と感想を。新作の鎧デザインにも関わっているため、何度もうっかり解禁前情報も漏らしかけつつ、「僕の考えたタイトルロゴのマークをそのまま使ってくれてうれしい」「ずーっと好きでいてください」と笑顔を見せていた。
森口は、「アニソンでデビューして、今年40周年なんですけど、メモリアルな年に『サムライハート』を通じて再び皆さんとお会いできたこと、本当に幸せです。これからもライブでコンサートで熱い気持ちを保ち続けながら大切に歌わせていただきたいと思います。今日は本当にありがとうございました!」と挨拶。
フォトセッションでも「(サイドバングを弄りつつ)ちょっと待ってください、“小顔ギア”にするんで。博子の顔に鎧が走る!」とオフマイクで叫ぶなどサービス精神たっぷりの森口。帰り際の舞台袖近くでも、BGMに合わせてフルパワーで「サムライハート」を熱唱しだし、会場を即興のライブに仕立て大いに盛り上げていた。

「鎧伝サムライトルーパー」は、“鎧擬亜(ヨロイギア)”を持つ5人の少年が、運命に導かれて集結し、妖邪帝王・阿羅醐が率いる“妖邪”の軍勢と戦うストーリー。1988年4月〜翌1989年3月にTVアニメが放送され、OVAやCD、漫画などクロスメディア展開された。2026年1月から、正統続編「鎧真伝サムライトルーパー」の放送も決定している。
この日のイベントでは、森口の選んだ第20話「新たなる戦い」、岡本の選んだ第23話「白炎死をかけた戦い」、第28話「謎の女妖邪カユラ出現」の3話が上映された。
◆取材・文・撮影=坂戸希和美
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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