俳優の柴咲コウが、11月28日に都内で開催された映画「兄を持ち運べるサイズに」初日舞台あいさつにオダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、メガホンをとった中野量太監督と共に登壇し、中野監督に“公開ダメ出し”をする場面があった。
“ダメ兄”の後始末で集まった家族の奮闘を描く中野監督最新作
同作は、作家・村井理子氏が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセー「兄の終い」を基に、「浅田家！」「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野監督が手掛けた映画。絶縁状態にあり、何年も会っていなかった兄の訃報を受けた妹が、兄の元妻や子どもたちと兄の“後始末”に奮闘する4日間を描く、笑って泣ける物語だ。
マイペースで自分勝手な兄に幼い頃から振り回されてきた主人公・理子を柴咲、家族を振り回す原因となる“ダメな兄ちゃん”をオダギリ、兄の元嫁・加奈子を満島、兄と加奈子の娘で母と暮らす満里奈を青山、同じく兄と加奈子の子で最後まで兄と暮らした息子・良一を味元が演じる。
1週前の11月21日より一部で先行上映が始まり、このほど全国公開初日を迎えた本作。周囲の反響を聞かれた柴咲は「私友達が少ないんでそんなに…」としながらも、「逆にその数少ない友達にすすめたい映画です。いつもは自分が出ているものを『見て！』っていうタイプではないんですけど、密に付き合っている深い友情でつながった人たちは、他の人にはあまり話せないような家族の話とかもしてくれるし、私もすることがある。そういう人たちに見てほしいなと思えるような作品だと思います」と、気心の知れた友人に見てもらいたいという思いを明かした。
また、本作のテーマである「家族だからこそ聞けなかったこと」にちなんで、登壇者同士でこの機会に聞いておきたいことを聞く場面も。
柴咲、中野監督のクセを指摘「それは嫌でした」
そこで、中野監督から柴咲に「現場中に『監督はテストが1回多いです』って言われて、僕にとって“余分なこと”は聞いたんですけど、監督として足りないことは何かありますか？」という質問が。
これに柴咲は「え～!? “公開ダメ出し”ってこと？」と戸惑いつつ、「演じる側としては、本当に素直なリアクションをされて、いいときはうれしいんですけど、イマイチだったときのリアクションも結構もろに出されるので…。それ絶対もう1回じゃん、ってオーラで来るから、それは嫌でした」ときっぱり言い、会場は笑いに包まれる。
中野監督が「どうしたら良かったんですか…？」とタジタジになっていると、柴咲は「首をかしげながら来るときがあるじゃないですか(笑)。それでショックを受けるときもありましたよ」と付け加え、監督は肩を落として苦笑い。
また、以前もタッグを組んでいるオダギリは、監督への助言を求められると「みんなを褒めときゃいいんじゃないですか？(撮り直したい場合は)『今のも良かったけど…(もう1回)』って」と返し、柴咲もうなずきながら「絶対『もっといいのがある！』って思う何かが監督にはあるわけじゃないですか。もちろんその期待には応えたいんですよ。ほんの一瞬の…ちょっとしたあれ(残念そうな顔)だけなんです。いくらでもやりますよ！やりたいと言われたら」と、俳優側もいいものを作りたいという思いは同じであると強調。
中野監督は「顔に出ちゃうんですよね…」とショックを受けつつも、「でも、今日は満足しました」と、聞きたいことが聞けてすっきりした表情を浮かべた。
そんな中、タイトルにかけて常に持ち歩いている“欠かせないもの”を聞かれ、柴咲は「推しグッズとぬいぐるみです」と意外な一面をのぞかせる答えを発表し、隣のオダギリも思わず驚きの声を。柴咲は「意外でしょ？猫を飼っているんですけど、猫とは一緒に旅行に行けないので、似たようなぬいぐるみを持ち歩いているんです」と、少し照れながら打ち明けていた。
映画「兄を持ち運べるサイズに」は全国公開中。
◆取材・文＝月島勝利(STABLENT)
