
俳優のオダギリジョーが、11月28日に都内で開催された映画「兄を持ち運べるサイズに」初日舞台あいさつに柴咲コウ、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、メガホンをとった中野量太監督と共に登壇。味元からの真っすぐな質問に答える場面があった。
中野監督最新作でオダギリが“ダメ兄”に
同作は、作家・村井理子氏が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセー「兄の終い」を基に、「浅田家!」「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野監督が手掛けた映画。絶縁状態にあり、何年も会っていなかった兄の訃報を受けた妹が、兄の元妻や子どもたちと兄の“後始末”に奮闘する4日間を描く、笑って泣ける物語だ。
マイペースで自分勝手な兄に幼い頃から振り回されてきた主人公・理子を柴咲、家族を振り回す原因となる“ダメな兄ちゃん”をオダギリ、兄の元嫁・加奈子を満島、兄と加奈子の娘で母と暮らす満里奈を青山、同じく兄と加奈子の子で最後まで兄と暮らした息子・良一を味元が演じる。
本作のテーマである「家族だからこそ聞けなかったこと」にちなんで、登壇者同士でこの機会に聞いておきたいことを聞く場面では、味元がオダギリに対して「オダギリさんと一緒の撮影の日が少なくて、2日間ぐらいしかなかったんです。一緒の撮影の日は、なんかオーラみたいな…独特な何かが…」と切り出すと会場から笑い声が上がり、オダギリは思わず「これはいじられてますか?」と苦笑い。
あらためて味元は「(独特なオーラも含めて)格好いいなあってずっと見ていたんですけど、オダギリさんが尊敬している方はいらっしゃいますか?」という質問をぶつけた。
これにオダギリは「たくさんいます。自分のできないようなことをできている人とか、自分と真逆のタイプの人とかは尊敬しちゃいますし、言ってみれば“相手”っていうのはどんな人でも尊敬したほうがいいんじゃないかなと思います」と返し、「あと、やっぱり親ってすごいなと思うんですよ。お父さんお母さんは何があっても味方でいてくれるでしょう? そういうのってやっぱりすごい。大切に思われているだろうし、尊敬しますよね」と、優しい口調で回答。
そしてその上で会場を見渡し、「ここにいる方々もきっと“親”の人もたくさんいるだろうし。すごいですよ、これだけの親が集まっているんだから。みんながきっと子どもを大事に思ってて。ここにいる人たちみんなを尊敬したほうがいいですよ」とユーモアたっぷりに伝えると、味元は「すごく参考になりました」と目を輝かせていた。
原作者のサプライズ手紙にオダギリ「ギリギリ泣かずに済んだ」
また、タイトルにかけて常に持ち歩いている“欠かせないものは?”というトークテーマでは、柴咲が「推しグッズとぬいぐるみです」と挙げたほか、オダギリは「虫刺され(に効く薬)。今日も持っています」、満島は「テレホンカードと梅干し」、青山は「ヘッドフォン」、味元は「ハンカチとティッシュと…紙とペンと糖分」と、それぞれ明かした。
さらに、登壇者へのサプライズとして原作者・村井氏からの手紙も寄せられ、MCが代読。
「――――確かに兄ちゃんは『兄』としてはダメだったかもしれないけど、『父』としては最後の瞬間まで精いっぱい頑張っていたはずだと。『兄を持ち運べるサイズに』の登場人物になれたことで、苦労が多かった兄の人生に大きなマルがついたとも思っています。幼い兄妹の思い出、不器用な家族の姿、そして残された人々に光をあててくださった皆さんに心から感謝しています」などと思いのこもったメッセージを受け、オダギリは「今こうやって皆さんと手紙を聞きながら舞台上で泣いたらどうしようと思って、ギリギリ泣かずに済んで良かったなと思っています。もちろん内容が素晴らしかったので」と、穏やかな表情を浮かべていた。
映画「兄を持ち運べるサイズに」は全国公開中。
◆取材・文=月島勝利(STABLENT)


































