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<AKB48・20年周年>「お遊戯会」と言われたデビュー当時、ニッチなアキバ系アイドルから国民的アイドルグループへ

2025/12/08 08:31

(C)AKS
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2005年の結成から20周年を迎えたAKB48。12月8日からは21年目へと突入する。今でこそ国民的アイドルグループとして知られる彼女たちだが、デビューから数年は東京・秋葉原で活動するニッチなアキバ系アイドルグループだった。そんなAKB48の初期状況はどんなものだったのか。当時を振り返る。

秋葉原の専用劇場から始まった「会いに行けるアイドル」の胎動


2005年12月8日、AKB48は「会いに行けるアイドル」をコンセプトに、秋葉原に専用劇場を構えて誕生した。おニャン子クラブを送り出した秋元康プロデュースということで劇場オープンの際には大きく報道されるデビューだった。しかし、話題になったのはその一瞬だけだ。「会いに行けるアイドル」と打ち出したものの、公演は連日閑古鳥が鳴く客入りであった。

当時の状況は様々なメディアでメンバー自身が語っているが、2012年1月6日に放送された「中居正広の金スマ新春2時間スペシャル AKB48波乱万丈 国民的アイドルの真相」は過剰な演出をせず、デビューからの6年間をフラットに伝えた古い映像資料の1つだ。その中では前田敦子、高橋みなみら初期メンバーが、「AKB48はお遊戯会」「アキバのパンツ見せ集団」と揶揄された過去を語っている。

レッスンを受けたとは言え、加入するまではほぼ全員が素人。当時は小学生からダンスを習うという文化も浸透していなかった。また、今でこそ身近な親近感を生む「会いに行けるアイドル」のアイコンと言える学校の制服風衣装も素人感を強調する一因になっていた。番組では、観客が7人だけの日もあったこと、ファンクラブの名称が「柱の会」になった理由、観客がほぼゼロだったクリスマスの外部ステージなど、他にもいくつものことが語られている。

また、選抜総選挙についても番組中で成り立ちに言及された。もともとセンターは秋元康が決めていたが、ファンから「秋元は分かっていない」というクレームが寄せられ、であれば「ファンみんなで決めましょう」となったのが事の発端だったという。よく総選挙はCD複数枚購入を促すアイデアからだと言われるが、始まりはファンとの共同実験に近かったのだ。

そもそもこの頃(2009年)のAKB48は握手券付きCDの効果でファンムーブは起きていたが、まだ社会的なブームには至っていない。同年の第1回選抜総選挙はテレビ中継や配信もなく、1位・前田敦子の得票数は4630票だった。翌年の第2回で1位となった大島優子の31448票と比較すると、その規模はまだ限定的だったことが分かる。

ニッチなアキバ系アイドルから国民的アイドルグループへ


秋元プロデュースで専用劇場もあるAKB48が盛り上がらなかった1つの理由として、この時代はアイドルシーンが下火であったことが挙げられる。J-POPではアーティスト志向が主流で、「アイドルを応援するなんて恥ずかしい」という風潮さえあったように思う。オーディション広告には「秋葉原48」と名称されており、「秋葉原のオタク向けアイドル」というイメージが先行定着したのもファン層の広がりを妨げる一因になっていた。

当時職場が秋葉原近くだった筆者は興味本位に数回劇場に足を運んでいるが、最初期はキャパ250人の劇場に観客が十数人いたかいないか、という光景をよく覚えている。

2007年には「NHK紅白歌合戦」に初出場したが、これもアイドルグループとして評価されたわけでなく、当時サブカルチャーの発信地として盛り上がる秋葉原のオタクアイコンとして声がかかったという皮肉な結果だった。

AKB48が日本中を巻き込むブレイクに至ったのは2009年後半、2008 年の「大声ダイヤモンド」あたりから急激にファンを拡大し、「言い訳Maybe」「RIVER」を経た「ヘビーローテーション」のヒット後になるだろう。選抜総選挙を経てファンの熱量はより高まり、メディア露出の増加が新規層を呼び込んだ。また、テレビで取り上げられたことで、劇場のステージと客席の近さや、握手会で直接交流できる「会いに行けるアイドル」の楽しさが広まったことも大きい。なにより、歌もダンスも未熟な少女たちが一人前のアイドルに成長していく過程を見守るという応援スタイルが、同世代から年配までの広いファン層をつかんだ。

20周年を迎え、時代に合致した新生AKB48へ


日本レコード大賞受賞、東京ドーム公演など、2010年以降の躍進は多くの人が知るところだ。一方で、最盛期を過ぎた現在の状況はあまり知られていない。2016年以降、中心メンバーが次々と卒業していく中でかつての圧倒的な勢いは徐々に落ち着き、国民的アイドルグループのポジションは乃木坂46をはじめとする“坂道グループ”に明け渡す形となった時期でもある。

2023年には32人、2024年には19人というメンバーの大量卒業があったため解散説も流れたが、実際は大型ホールを埋める動員力は変わらず健在で、現場の熱気に衰えはない。事実、オリコンCDランキングは2024年12月のアルバム「なんてったってAKB」、2025年発売の「まさかのConfession」「Oh! My pumpukin」のシングル2枚はいずれもランキング1位を獲得している。情報の発信・受け取りがテレビからSNSに変化すると、一度離れ、フォローしていないシーンのことはなかなか知り得なくなるものだ。

そして2025年、「素人っぽい子が成長していく姿を応援する」というコンセプトが強かったAKB48の現在は、歌唱力、ダンス、ビジュアルといった総合値の高いメンバーが増え、しっかりステージングができるアイドルグループへと変化してきている。

多くのアイドルグループが時代と合致したハイクオリティーなパフォーマンスを追求する中で、20周年を迎えたAKB48もその流れに適応し、よりプロフェッショナルなエンターテインメントを提供しようとしている。

◆文=鈴木康道

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