
蔦重という人は皆から愛される力があり、皆を愛す力もある
――蔦重に対して愛憎さまざまな思いを抱えながら生きてきた歌麿だったと思いますが、改めて、歌麿にとって蔦重との出会いはどのようなものだったと考えていらっしゃいますか?
蔦重と出会わなければ、“歌麿”にももちろんなっていませんし、絵師として生きていく場所を見つけたからこそ、「べらぼう」においての歌麿は人としてちゃんと生きていく力を身につけていき、成長することができた。蔦重がいなかったら歌麿は生きていけなかった、そんな存在だったと思いますね。
――蔦重と二人三脚でやってきた歌麿です。座長である横浜さんとはとても密に接してこられたと思いますが、どのような共演経験になりましたか。
すごくいい経験をさせていただきました。彼はずっと「べらぼう」のことを考えていましたし、蔦重のことはもちろん、周りのことをとても冷静に捉えて考えていて。一緒にお芝居する時も、2人で方向性を確かめ合いながら、共有しながら、一緒にお芝居することができました。蔦重と歌麿にとって、この場面はどのような表現をしたら「べらぼう」という作品においてベストなのかということをすごく話し合いながらできましたし、実際にお芝居をする中で感じ合うことも多くありました。どこか戦友のような感覚になりましたね。
――染谷さんが改めて感じる、蔦重という人間の魅力を教えてください。
蔦重の魅力は、人の気持ちを分かっているのか分かっていないのか、どこまで狙っているのか狙ってないないのか。天然さもあり、でもすごく器用でちゃんと人情が残っていて、みんなが付いていってしまう。すごく人情味溢れる人柄に魅力を感じますし、皆から愛される力があり、皆を愛す力もあるのだなと、人間としての器の大きさを感じました。メディア王となって世を動かし、人々に影響を与える力があったのだろうなと感じています。
――演じる横浜さんが、蔦重に重なる部分はありましたか?
「べらぼう」という作品の中で、蔦重は本当にずっと出ていますし、ずっと喋っていますし、相当大変だったと思います。そこを見事に走り切っていて、そのエネルギーと、豪華なキャストの皆さんを引っ張っていく力が流星くんにも蔦重と同じようにあると感じました。彼はみんなから愛されていましたし、流星くんも本当に皆さんのことを愛しているんだなということがすごく伝わってきて、そういう部分も蔦重と重なりました。
役者としても一人の人間としても、すてきな経験でした
――数多くの作品で、さまざまな役を演じられている染谷さんですが、改めて「べらぼう」の歌麿役はご自身のキャリアの中でどのような経験になりましたか?
不思議な経験でしたね。演じていて感じたことのない感情を感じることが多かったです。怒りといっても一言で怒りとは言い切れない感情であったり、例えば蔦重に対する愛情も歌麿の中でもどういう愛情なのか処理しきれなかったり。そういった表現は今まで感じたことがなかったですし、役者としても、一人の人間としても、すごくすてきな経験をさせていただけたなと思います。
――最後に、視聴者の方へメッセージをお願いします。
最終回のラストも本当に「べらぼう」らしい終わり方をしています。自分も最後まで関わらせていただき、蔦重が面白いもの、人々に影響を与えるものを世にぶつけていくという姿勢と、この「べらぼう」という大河ドラマが面白いものを、人々力になるようなものを世間にぶつけていく姿勢というものが、自分としてはすごくリンクしているように感じて。個人的にはメタファー的な気持ちにもなり、この大河ドラマ「べらぼう」も蔦重が作ったのではないだろうかと思うくらいに、たわけ感と面白みを最後まで見ていただけたら感じられるのではないかなと。ぜひ最終回を楽しんでいただけたらうれしいです。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。









































