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「鉄鍋のジャン!」監督が語る30年前の名作アニメ化秘話、原作料理はプロによる“ガチ中華”で完全再現

2025/12/15 17:30

「鉄鍋のジャン!」が2026年にアニメ放送決定
「鉄鍋のジャン!」が2026年にアニメ放送決定(C)2005 Shinji Saijo

1995年から2000年にかけて「週刊チャンピオン」(秋田書店)で連載された西条真二による中華料理漫画「鉄鍋のジャン!」の2026年のアニメ放送が発表された。クセの強いキャラクター、中華料理に特化した料理バトルが人気を博した作品だが、30年経った今なぜアニメ化なのか。昨今のリバイバルブームに乗ったのとは違う、長年温めていたというあおきえい監督のファン魂、令和に同作を描く方針を聞いた。

あおきえい監督が長年望んでいたアニメ化


――30年前の作品のアニメ化で驚いた人も多いと思います。アニメ化となった経緯について教えてください。

僕は連載当時から読んでいて大好きな漫画でした。連載が終了したときには僕はもうこの業界に入っていて、いつか「ジャン」を自分の手でアニメ化したいと秘かに思っていたんですよね。「いい企画ないですか?」と聞かれることも多くなり、「こういう漫画があるんですが…」と提案したりして。

ただ、30年前の作品なのでなかなか難しいことが多く、うまく行かずで。そういう時期が続いた中で、今回のプロデューサーさんが乗ってくださり、実現に向かいました。同じくらいの世代で、「ジャン」が好きだったみたいです。

――当時、漫画のどういうところに面白さを感じていましたか?

まず、ジャンの個性の強さですね。主人公なのにかなりヒール。破天荒な料理を作ってライバルたちを蹴落としていく。そういうアンチヒーローみたいなところが当時すごく新鮮で格好いいと思いました。それから「ジャン」で描かれる中華料理の魅力ですね。当時かなり最新の中華を精密に描いていたと思います。キャラクターは大胆で破天荒だけど、作っている料理の描写はすごく繊細。ギャップがすごく良くて、その両輪がきれいに機能しているのが読んでいて新鮮でした。

――当時は「料理の鉄人」をはじめ料理番組が流行っていて、料理漫画も数多く連載されていました。そういった料理ジャンルが溢れていた中で、「ジャン」は他と何が違いましたか?

当時の全ての料理漫画を知っているわけではないですが、中華に特化して、かつ現代的で最新の中華を扱った料理漫画は「ジャン」だけだったように思います。今だと当たり前になっている食材や調味料、例えばXO醤が出てきたり、刀削麺といった料理が描かれたり、真空調理のような調理法など、とにかく新鮮でした。インターネットもそこまで普及していない時代でしたから、「ジャン」で覚えた中華の知識って、けっこうみんな多いんじゃないかと思います。

あと、ああいう作風の料理対決というのは新しかったと思います。「ジャン」の料理対決は格闘漫画の延長の描き方で、少年漫画でいう格闘技大会。元気玉を出すところを「ジャン」は料理を出す。そういう作品だったと思います。

あおきえい監督
あおきえい監督撮影=鈴木康道


原作料理はプロの料理人が実際に再現


――一口に料理漫画といってもジャンルは様々です。調理過程で見せていくのか、完成料理で見せていくのか、食べるシーンで見せていくのか、どのようにお考えですか?

基本的には原作準拠です。原作でやっていることをアニメの表現でやりたいというのがあります。「ジャン」の料理は食材こそ特殊なものが多いですが、実際に作れそうだし、美味しそうに描かれていたので、アニメもそこはきちんとしたいです。

今回、料理シーンに関しては実際にプロの料理人に再現してもらい、それを動画や写真で撮影して、作画の資料にしています。大胆な作画でも、料理部分は原作同様になるべく精密に描く方針ですね。

――冒頭のXO醤の話もですが、料理の世界も30年で変化しています。令和版「ジャン」として何かアップデートさせてのアニメ化でしょうか?
 
そこは制作のスタート時にかなり悩みました。おっしゃるように、当時は驚いていたものが今は普通に手に入る時代になってきて、そのギャップを埋めるために調理内容を変えた方がいいんだろうかとも考えました。でも、そうすると全部を変えなければいけない。XO醤を使った料理勝負もできなくなってしまう。それだとアニメ化する意味がないなと。だから考えを切り替えて、いわゆる「時代劇」のつもりで作ることにしました。

あくまで原作と同じく、1995年が舞台。「こういう食材や調理方法が新しかった当時の時代」として描いています。だから携帯電話は禁止です。若いアニメーターはモブを描くときに携帯を持たせがちですが、95年ではまだ一般化していないですから。メールじゃなくてファクスの時代です。

――原作の西条先生とはどのようなお話をされましたか?

西条先生とは事前にお話をして、シナリオやコンテも随時共有してご意見を伺っていますが、基本的にはお任せでした。ほぼ「いいですよ」という感じで受け止めていただいています。

ただ、とある話数の1シーンだけ、西条先生からネームが送られてきたというのがありますね。連載時、ページ数の都合でカットせざるを得なかった描写で、アニメではぜひこれを入れてほしいと、コマ割りもされた直筆のネームを頂いたので、そこは期待に応えたいと思います。

「鉄鍋のジャン!」コミックスより
「鉄鍋のジャン!」コミックスより(C)2005 Shinji Saijo

下に続きます
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  • 「鉄鍋のジャン!」が2026年にアニメ放送決定
  • 【写真】これが「鉄鍋のジャン!」の料理シーン!
  • 「鉄鍋のジャン!」コミックスより
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  • あおきえい監督
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