
コーディネーターは「マツコの知らない世界」にも出演した中華の専門家
――プロの料理人に料理の再現をしていただいたとのことですが、あおき監督もその場にいたのでしょうか?
現場で見ています。なんなら試食もしています(笑)。
――漫画のものを実際に作るとどうなのか。読者は気になっていたと思うのですが、いかがでしたか?
すばらしいです。今回、佐藤貴子さんという、「マツコの知らない世界」にも出演された中華専門の方がコーディネーターをしてくださっているんですが、佐藤さんがとても顔が広い。「この料理だったらこの人がいいと思う」と色々な料理人をアテンドしてくださいました。
見ていてすごいと思ったのは、料理人の皆さんのレシピの解読力ですね。原作の中では何を使って作るというのは明言していても、その調理行程は描かれていないケースがけっこうあるんですよ。そこを料理人の方が「多分、こうしている」と読み解いて、なおかつ味も追求して。正直、最初はそこまで求めてはいなかったんですよ。あくまでアニメ制作の資料作りでしたので。『それでもとにかく美味しいものを作りたいんだ』という料理人の矜持に感銘を受けました。
――ちなみに、あおき監督が自分で作ってみた「ジャン」の料理はありますか?
僕は残念ながら料理は全くできません(笑)。でも中華は好きで、刀削麺を初めて食べたときは「これか!」と感動したし、原作の後半に登場する“飲めるラー油”も10年後ぐらいに桃屋さんから“食べるラー油”が発売されて、そのときは「時代が『ジャン』に追いついた!」と一人で喜んでいました(笑)。

「鉄鍋のジャン!」の楽しさが今また広まってほしい
――メインキャラクターのジャン、キリコ、小此木。この三人の中で監督が好きなキャラクターは誰になりますか?
みんな好きなキャラクターです。全員魅力的に描いてあげたいと思いますが、やはり主人公のジャンが一番輝く形にしたいとは思います。
今回、メインキャラクターはみなオーディションで決めていて、ジャンの「カカカカ」という特徴的な笑い方には特にこだわったところです。もうこれこそ放送で聴くのを楽しみにしていてほしいですね。
――放送は来年ですが、今制作の手応えはいかがですか?
僕は楽しいです(笑)。好きだった漫画を、今度は自分が監督になってアニメ化させていただける機会なんてめったにありませんから。コンテを切っていても楽しくて仕方がないですね。
30年前の作品であっても改めて面白いと再確認できましたし、エンタメとして完成されていると思いました。ファンの皆さんはアニメの放送を楽しみにしつつ、原作を読み返しておくいいと思います。読んだことがない方にはアニメ化が原作を知る入口になってくれるとうれしいです。「鉄鍋のジャン!」の楽しさが今また広まってほしいですね。
◆取材・文=鈴木康道






























