独断と偏見のレビュー
よくぞここまで悪の総合商社のようなキャラクターを生み出したものだな、というのがここまで本作を見てきた中で犬崎の印象だ。それこそ「越後屋、お主も悪よのう」「いえいえお代官様ほどでは」どころではない、“狡猾”という言葉の意味を新語辞典で調べたら、「犬崎のようなこと」と出てくるくらいのレベルの悪どさだ。
某“失敗しない女医”だったら、間違いなく「ねえ、顔怖いよ」って言っているであろう、悪そうな顔つきもさることながら、芸が細かい。そして、相手を貶めるためなら何歩でも先まで見据える手。“ひふみん”顔負けだ。その手じゃないっての。
さておき、それくらい悪役が立っているからこそ市長こと主人公の智子を応援したくなるってものなのかもしれない。高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな。未亜も言っていたが「みんなで寄ってたかった佐藤さんをいじめるから悔しくて」というのも分かる気がする。
良い時はどんどん持ち上げて、旗色が悪くなるとこれでもかってくらいたたきつぶしにかかる。いやはや本当に怖い時代ですな。それはもちろん今に始まったものではなく、みこしを高い所までかついで、かついで、かつぎまくってから突き落とすってやり方は、戦国時代だろうか平成の世だろうが一緒だ。
個人的には、未亜が最初は「長いものには巻かれる」という姿勢だったはずなのに、智子市長の市政に触れてから?なのか、人間味が増してきたのが見ていて心地よいところではあるし、菅原大吉の演技も相変わらずスゴイ。
この人、何だか頼りないおっちゃんの演技をさせたらそれはそれは見事なまでにくしゃっとした表情を見せるのに、今回のように硬派な役柄をやらせたら、対峙しただけで思わず頭を下げて逃げたくなるくらいの威圧感があるように思う。彼の出ている場面では、つい正座している自分がいる。
そしてキャラクターという意味では、気になって夜も眠れない案件が1つ。それはみんなが気になっていると思うが、“一生サマ”こと、誠の人物像だ。
正直なところ、最初は智子に理解を示していて、面白がって協力するものの、最終的には犬崎の方に付いて、奈落の底に突き落とすと思っていたら、副市長就任の打診も受けてしまった。
ただし、それですら何か策略の1つなんじゃないかなと思うくらいのニヒルな笑みを浮かべるのが“一生サマ”の演技。実際、結末がどうなるのか全く読めないのだが、それと一緒に誠がまことに智子にとって味方なのか、敵なのか、最後まで分かりますまい。
だって、深い仲になればなるほど突き落としたときの衝撃が大きいのだから、見ている人は面白いわけでしょ?
でも、万が一そんなことになってしまったら、それこそ画面に向かってこう叫んでしまいそう…。
「世の中、おかしくないですか!?」
文=人見知りシャイボーイ
毎週月曜夜9:00-9:54
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