
耕一が語る「継承」するということ、そして栗須の感動の涙
迎えた2025年の有馬記念のレース当日、「君も親父も全部ぶっちぎって俺が勝つ。へばりついた古臭い夢、俺がはぎ取るよ」と宣戦布告する展之に耕一は言う。
「展くんは継承を否定するけどさ、はぎ取れないよ、夢は。だって、父親の夢じゃない。俺の夢だから。継承は、押し付けられるものじゃない。選び取るものなんだよ。受け取る人間の数だけ、受け継ぐものがある。俺は望んで夢を受け取って、自分のものにしたんだよ」。
かつて展之が言っていた「継承の奴隷になるなよ。継承って言や、立派に聞こえるけど、要は負債の繰り越しだから」ということへの返しでもあった。
いよいよレースが始まる。ロイヤルファミリーに騎乗するのは、加奈子の息子・翔平(市原匠悟)。ソーパーフェクトはルメール騎手(※本人役)、そしてビッグホープは、かつてロイヤルファミリーに騎乗していた隆二郎(高杉真宙)だ。
ソーパーフェクトとロイヤルファミリーの叩き合い。“叩き合い”とは、競馬用語で馬が競り合う様子のことをいう。ところが、そこにビッグホープが加わる。
テレビの前でも手に汗握る展開。ロイヤルファミリーの応援をしていた栗須は、いつしか感無量の表情になる。夢を追い始めることになったロイヤルホープの子が2頭、有馬という舞台で勝利を競っているのだ。「社長(※耕造のこと)、あなたの馬が…あなたの子どもたちが、ここに…」。栗須は泣いていた。

“継承”に含まれていた夢の驚くべき結末
並んでゴールインしたロイヤルファミリーとビッグホープ。写真判定で勝利が決まったのは、ビッグホープだった。
そのビッグホープについて、驚くことが明かされた。第7話で、入院中の耕造を見舞った椎名が「私はまだ大人げないので」と封筒を渡すシーンがあった。その真相は、「社長と私で、最強の馬を作りませんか」というもので、ロイヤルホープの種を買い付ける申し出だったのだ。
勝利に酔いしれる椎名は目を潤ませながら、栗須に告げる。「私にも約束したことがあるんです。社長の馬に有馬を取らせるという約束が」。椎名から手を差し出された栗須は、耕造からもらった時計を重ねて握手した。
栗須と耕造の夢がこのようなかたちでかなうとは、想像以上の感動だった。この最終回だけでなく、栗須が何度も流してきた涙を思うと胸が熱くなる。
レースを終え、耕一はロイヤルファミリーがまだ走りたいと思っているのではという考えを栗須に明かした。引退撤回するとなると相当な覚悟がいる。栗須は「馬に決めてもらいましょうか、ファミリーに」と言った。その後に描かれたのは、ロイヤルファミリーが翌年に快進撃したということ。第1話で、耕造が馬は自分が勝ったことを分かっていると言っていたが、それにも通じるような展開だ。そして、2030年には事業に成功したらしい耕一が馬主の資格をとり、養老牧場を営んでいる栗須に会いに行くつもりだというラスト。新たな“継承”を感じさせた。
「#ロイヤルファミリー」がトレンド1位に輝く反響があったSNSには「いろいろなものが継承されていくんだ」「『継承』と言って次代の戦いを見せておきながら、最後は次代の壁となった先代のコンビが勝つと言う展開は熱かった」「最高のドラマだった」などの感想のほか、「栗須さんの涙に毎度やられた」「栗須の涙に毎回心を揺さぶられました」といった声も上がった。
◆文=ザテレビジョンドラマ部

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