テレビアニメ「ワンダンス」(毎週水曜夜11:45-深夜0:15、テレビ朝日系※一部地域を除く／ディズニープラスのスターで配信中)の第11話「自覚」が12月17日に放送・配信され、“ダンスの神髄”の一端が描かれたダンスシーンに、SNSでは多くの視聴者が反応した。(以下、ネタバレを含みます)
前回王者が“うまく見せない”ダンスで圧倒
同作は、月刊コミック誌「アフタヌーン」(講談社)にて連載し、海外でも10言語で出版されている、珈琲による累計発行部数110万部突破の人気漫画シリーズをアニメ化したもの。自分の気持ちをうまく表現できない、吃音症の高校生・小谷花木(CV：内山昂輝／以下、カボ)が、人目を気にせず自分の表現を追求する同級生・湾田光莉(CV：羊宮妃那／以下、ワンダ)を通じてダンスに引き込まれ、言葉が要らない“フリースタイル”なダンスの表現に挑んでいく青春物語だ。
第11話では、1回戦第2試合の宇千(CV：林勇)と宮尾恩(CV：諏訪彩花／以下、恩ちゃん)のバトルの2ターン目、宇千は自分寄りの音楽が流れたことに加え、“あえてうまく見せない”という特長をフルに生かして踊り、前回王者の実力を見せつける。対する恩ちゃんも自分らしいダンスで対抗したが、ダンス上級者同士の戦いでは“うまくないダンス”が映えて見えてしまい、惜敗してしまう。
学校一番の実力者・恩ちゃんのまさかの敗北に、一凛高校の面々は言葉を失う。恩ちゃんにバトルの楽しさを感じてもらいたいと、半ば強引に彼女をバトルに引っ張ってきた伊折(CV：増田俊樹)は一人責任感を感じ、打倒・宇千を胸に誓う。
伊折、壁谷(CV：内田雄馬)に続き、カボも1回戦に勝利し、2回戦へ。2回戦では、ワンダが宇千と戦うことに。宇千有利と予想する観客たちに対し、伊折は「勝敗は分からんよ。スポーツじゃなくて芸術だから」とワンダに期待を寄せる。先攻のワンダは“会場を飲み込む才能”を発揮し、フロアを沸かせる。後攻の宇千はワンダの強さに呼応するように楽しげに踊り、ワンダを退けた。
ワンダの敗退にカボもショック
ワンダの敗退に少なからずショックを受けたカボは、自身の2回戦のバトルを前に「あんなに練習して、踊れる曲も増やして、いろんなジャンルにも対応したのに、いざこの場に立ってみると、いかにそれが難しいか痛感した。舐めていた…。練習してきたことを出すというのが。それは、俺が弱いからだ。もう『ダサいかも』とか迷うのはやめよう」と悟り、「俺のダンスはカッコいいんだ！ 他に何も要らない」と自分に言い聞かせる。そして2回戦を突破し、準決勝に駒を進める。
準決勝進出者は宇千、伊折、壁谷、カボ。第1試合で宇千と相対した伊折は、恩ちゃんへの思いも胸に宿しつつ、初めていろんな感情が入り混じったバトルに臨む。伊折が得意のステップスキルで勝負に出ると、宇千もあえてステップで返すスタイルで対抗してフロアを盛り上げる。
2ターン目、得意ジャンルのHOUSEの曲が掛かり、ここぞとばかりに超絶スキルのステップで巻き返しを図る伊折だったが、ラストのキメで技を見せるほうに走ってしまい、外してしまう。一方、宇千はHOUSEでもノれるところを披露し、ほぼ勝利を手中に収める。
ラストの3ターン目、後がない伊折は“自分を超えるため、自分のためだけに踊る”ことに集中し、会場を大いに沸かせるムーブを披露。審査員の心を動かすことに成功し、ジャイアントキリングを成し遂げた。
バトルという“ダンスで相手と戦う”という状況の中で、「どれだけ音に誠実に向き合えるか」「どれだけ自分を出せるか」というダンスの神髄の一端が描かれた内容に、視聴者からは「“誰かのため”が強さになることもあるけど、“自分のため”が自由を生んで強さになるってのも面白い」「恩のためではなく自分のために3曲目は無心で踊り、見事逆転勝利な展開が非常にエモかった」「ダンスって生き様やん 意志が音楽で踊る かっけー」といった書き込みがあふれ、大きな反響があった。
◆文＝原田健
