――政次(高橋一生)の壮絶な死を描いた時の感想を教えてください。
初めは、(直虎が政次を)刺す予定じゃなかったんですよ。政次が身をていして井伊谷を守って、死の覚悟を決めるという設定は初めから決めていたことだったんですが、本来は、直虎は刑場に見送りに行って経を上げる。
その直虎の経を聞きながら政次がフッと笑って最期を迎える。その一瞬のほほ笑みのために政次役を高橋さんにお願いしたといっても過言ではないです(笑)。
ですが、諦めが悪くて、最後まで粘って何とか他に手はないか探し出す直虎という主人公が、政次の処刑に関して何も答えを出さずに見送るだけなんだろうかと考え初めたんです。
そして、政次の意志も分かりつつ、彼女なりの最大の送り出し方、手向けという答えが、あの行動になりました。
――柴咲コウさんの演技の印象はどうでしたか?
華があり、迷いがなく、こうと決めたらこうやるんだとピシッと表現されている演技ですよね。尼僧の時や、やんちゃな領主時代、そして農民となって裏から井伊谷を治めていくというスタンス。
おとわという人なんだけれども、その時代時代で、明らかに別の色を持っているというのが鮮やかでした。
――脚本を書いていて、1番楽しかった回はどこでしたか?
最終回! 「ぱーっと終わっていく」と言ってしまったら変な表現なんですが、正にそんな感じなんですよ。もう、この回のために、この瞬間に光が当たるために今までがあったんだなという“はじけた回”なんです。
私も、走るというか走らされるというか不思議な感じで書かされました。
なお、12月23日(土)昼1時5分からNHK総合で最終回が再放送される。